【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】私たちは水と共に生きている。
<テーマ学習レポート>
生きとし生けるものにとって、なくてはならない水。だからこそ、考えていきたい問い。
「水は、これまでも、これからも、無限にあるのだろうか?」
4週目はここから始めていきました。
「循環してるってことは限りないんじゃないの?」
「いや、再生センターで再生してるってことは限りがあるからじゃない?」
「そもそも水があんまりない国があるんだよ」
「泥水を飲んでる国もあるってCMでみたことある」
水が有限か無限か、それぞれが知っていること聞いたことあることを共有したのち、資料や動画をつかって水の現状を知っていきます。
地球の表面積の7割は水であるにも関わらず、そのうち97.5%は海水であること。その中で私たちが使うことができる淡水は、0.01%であり、地球すべての水を風呂桶1杯分(200リットル)だとすると、使える水はなんと大さじ1杯分くらいである。
この事実に、子どもたちは「えーーーーー!」と言葉を失います。
しかも、水は降水量や国際河川の違いにより、地域によって「偏り」が生じていること。地球儀をつかって、どのエリアで水の争いが起きているか確認もしました。
それにも関わらず、世界では水を巡って様々な争いことが起きているという”水戦争”について、ドキュメンタリー映画『ブルー・ゴールド』を視聴していきました。
この中では、開発途上国に水道事業の民営化を迫る水事業、水を自らの利潤のために利用する自治体、一方で水のために命を落とす子供の姿や若者の姿など、様々な矛盾と問題が世界中で起こっている様子が、映像としてありありと映し出されます。
その水不足にあえぐ国々で支援を行っている国際NGOがあると知り、今回オンラインでお話を聞く機会を頂戴することができました!
その名も、「すべての人々が清潔な水と衛生を利用できる世界」を目指すウォータージャパンという団体です。
「これはなんの写真でしょう?」と見せてくれた写真が、なんとアフリカにある学校のトイレでした。下に穴があって数本の木の板で蓋をしただけのものですが、ゴミが周りに散乱し、加えて何者かに荒らされたかと思ってしまうぐらいの乱雑さが目立ちます。
また、水を汲むまでに5kmの道をいかなければならず、大変な重労働なのにその仕事は女性や子どもが担っていることを知り、ジェンダー問題との関連にも気づかされました。
「雨水を溜めて使う国にとって酸性雨はとても迷惑だけど、その雨を汚しているのって、実は私たちなのかも・・・」
「水不足に困っている人が7億人もいるなんて。日本の人口が1億2000万人だと考えると、5〜6倍とこんなにも多いのか・・・」
「いつも汚い水を使っている人たちは、きれいな水をみたことがないのかも」
「でも、井戸をつくったらその地域が変わったように、”魚を与えるんじゃなくて釣り方を教える”のが大事なんだ」
子どもたちが、次第に自分ごととして水問題を考え始めていくのが手に取るようにわかります。
しかし、私たちは直接水を飲んだり使ったりしているだけじゃありません。
食べ物には水分が含まれているし、そもそもその食べ物を育てるためにも水が必要だということ。それは食べ物だけじゃなく、工業にだって同じことが言えるわけです。
つまり、農業も工業もいろんな国からの輸入に頼っている日本にとっては、”モノを通してどこかの国の水を使っている”ことになり、それを「バーチャルウォーター」と呼ぶのだ、ということ。
それを知った一人のキッズが、「洋服もそうじゃない?」と気付いたことで、みんな一斉に洋服のタグを見始めました(笑)
すると、カンボジア製にモロッコ製、ベトナム製、ミャンマー製、インドネシア製などなど、まぁ多彩な国のタグを見つけました。
洋服を着るだけでも、私たちはすでにこの国々の水を使っていることになる。。。意識していてもしていなくても、常に何かしらの形で水を使っているという事実に直面しました。
これから人口がどんどん増えている世界に比例して、人が水を使う量も増えてきます。その結果、浪費や枯渇につながり、戦争にだってつながる。
じゃ、生き続けるために私たちができることってなんだろう?
この「私たち」というところが、ポイントになってきます。
絵空事ではなく、どんな行動ができるだろう。プレゼンテーションに向けて、頭をぐるぐるさせていきます!
MK
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)