【探究領域】社会寄与
【セントラルアイディア】私たちはおかげさまで生きている。
<テーマ学習レポート>
ありがとうって何?どんなときに使う言葉?
2年生からこんな発言が出てきました。
「救世軍にありがとうだと思う。フードロスしちゃってるけど。」
最後に付け加えた言葉も気になりますが、なぜ救世軍なのでしょうか。
「救世軍」といっているのは、TCS給食を作ってくれているご近所(杉並区)の救世軍ブース記念病院のことで、そこのカフェテリアで一般に提供しているメニューを配達してもらっています。会食(給食)の日がクラスごとに週1日定められていて、その日に苦手なものが出て苦戦する場合もあれば、自分の好きなメニューのときに家でお弁当を作らないでもらい、わざわざ注文する子もいます。
嫌いなものを時間をかけて食べ、最後には残してしまうこともあるのに、どうしてありがとう?
「食べられるようになると嬉しいから。」
「ありがとうは喜ぶことにつながると思う。」
食べているときの仕草と表情は、「ヤダな」って心を表しているようにみえるけど、うれしいってこと?
テーマ学習も6ターム目ともなると、年度内にこれまでやってきたテーマでの学びを端々で絡めていくことができるようになります。
「内心は迷惑!いじわる!って思う。」と自分事に捉えた別の子が発言すると、
そうそう。数人がうなずいて反応します。
「そんなにおいしくないときは、ありがとうっていっても気持ちがこもってない。」
「つくってくれてありがとう。ごめん、でも、好きじゃないって感じ。」
「そのときのありがとうって本当のありがとうじゃない。」
食べられるようにしてくれてありがとうと思う気持ちも、内心は迷惑と思う気持ちもどちらも本音。テーマの初回は、このように始める前の時点で、思っていることを出し合っていき、6週間後に認識の変化を確認するために記録もしていきます。話題は、内心思っていることと、口に出す言葉が異なる場合があるという流れになっていき、そんなときにいう「ありがとう」は「本当のありがとうじゃない」というのです。
ならば、「本当のありがとう」と「うそのありがとう」があるの?と聞くと、「ある!」と口々に言い出します。
「いつも「いいよ」って言ってくれると、それに(対して)ありがとうって言うけど、心はこもっていない。」
「ありがとうって言え!って言われて、仕方なくありがとうっていうとき。」
「いつもはいじわるしてくる相手には、ありがとうって思いたくないから、言っても、それはうそのありがとうになってる。」
「ペンをとってもらったんだけど、乱暴に渡されて、うそのありがとうになった。」
「誘ってくれて、嫌だったんだけど、ありがとうっていって一緒に遊んだとき。」
それに対して、本当のありがとうを言う場面は、
「消しゴムを忘れて、貸してもらったとき。」
「バス降りるとき、ここまで連れてきてくれてありがとうって運転手さんに言うとき。」
「任天堂スイッチをつくってくれた人には、ありがとう言いたい。」
「ありがとうってみんなから言われてうれしくてありがとうって言った。」
ありがたいと思うときは、本当のありがとうであり、ありがたいとは思っていないのに言葉に出すのは、うそのありがとう。
お礼として、社交辞令として、仕方なくいうセリフとして、「ありがとう」を使いわけている実状が見えてきました。ただ、「ありがたい」という言葉自体は、出てきていません。
そこで、子どもたちには、漢字で書く「ありがとう」をその語源とともに提示しました。
「有り難い」から「有難う」
ありがとうは有ることが難い(難しい)という意味。めったにないくらい、貴重だということ。とても深い感謝の気持ちを表したていねいな言葉。(ながたみかこ『子どものための敬語の本』より引用)
「それなら、なんで、ありがとうってアリが10匹っていうの?」
耳から得た知識と当てはまらない。どうして?という素朴な疑問です。
「有難う」と「蟻が十」 漢字で書くと納得です。
「ありがたい」は形容詞。それを名詞にした「ありがたみ」についても合わせて提示しました。語尾を変形させたり、遊んだりすることができてしまうから日本語って面白いです。
めったにないことだから、ありがたいこと、ありがたみがある。
いつもあることは、ありがたくはない、ありがたみはない。
でも、本当にそうなのでしょうか。
「いつもおいしいものをママがつくることは当たり前だけど、ありがたいと思う。」
「めったにないけど、たま〜にTCSの準備をされちゃうのはありがたくない。」
そして、めったにないとも、いつもとも言い難い、「時々」という場面も出てきました。
どんなときに、ありがたみを感じるのか、座標軸にしてまとめてみました。
「これって、静かなともだちでも使った。」
「サマプロでも使ってみたよ。」
座標軸は、考え事を整理するときに使えるシンキングツールのひとつであります。低学年のうちから、さまざまな「考え型」を伝えていくことで、最終的には自分で使いこなせるようになることを目指しています。
1年生では、めったにないありがたみを感じる部分に実例が集中。
2年生では、どの部分にも実例が示され、頻度に関わらずありがたみの感じる場面をたくさん出せているのが特徴として現れてきました。
見えている部分や角度、感じ方が学年によって、個人によって異なるため、お互いの意見を知りながら、刺激を受け合っています。見えづらく陰になっているところに焦点をあてて、ありがたみ潜入探索の始まりです。
AN
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)