【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】見れば見るほど見えてくる。
<テーマ学習 レポート> week2
1週目はちょこっと散歩に出かけたくらいの紅葉山公園でしたが、今週からはいよいよこの場所を”フィールドワークの舞台”として、足繁く通っていきます。
そこで目指すは、”葉ンティング”であります!
「あ、わかった!英語でしょ?」とピンとくるキッズが数名。
さすがですね〜その通りで、英語のhuntingをもじってあります(笑)
「さがす!」「さがしてみつける!」と子どもたちがいうように、まさにこのテーマの芯をついた”観察としての葉ンティング”を行うため、一人ひとりを”葉ンター”として任命することにしました。
そこで今回、葉ンターたちが6週間かけて挑むミッションは、
「いろんな種類の葉っぱをあつめる」ということであります。
まずは一人で公園内を自由に歩き回り、気になった葉っぱをできるだけ多く採集してくる。そこからスタートすることにしました。
採集したら、押葉にして保管しておくと同時に、一枚一枚”記録”もしてゆきます。記録といっても様々なやり方がありますが、今週の記録方法として用いるのは、アートの時間に学んだ技法「フロッタージュ」。紙の下に敷いた葉っぱを、上から鉛筆で丁寧にこすっていくことで、葉の持つ模様や形がきれいに浮かび上がってくる、というユニークな技法です。
この不思議さに、子どもたちの目がキラキラ輝き出します。試しにお手本で見せると、「やりたいやりたい!」の大合唱。いいですね、この前のめりな感じ!
じゃ、まずはやってみよう!ということで、しばし様子をみていると、、、しばらくすると「はぁ〜〜〜〜、難しい」と声をあげる子どもたち。うまく写している気になっているけれど、よく見るとただ鉛筆で線を描いたようにしか見えなかったり。逆に写してやろうという気持ちが前に出過ぎて、筆圧が濃くなり紙や葉っぱが破けてしまったり。なかなかイメージしているようにはうまくいかないようです。
しかし、この「どうしてうまくいかないんだろう?」というモヤモヤや、「どうやったらうまくいくんだろう?」という疑問があるからこそ、次なる発見が生み出されるというもの!
TCSがSpiritとして掲げている「レジリエンス(しなやかさ・たくましさ)」の発揮しどころでもあります。
何度も何度もフロッタージュ実験を繰り返すことで、「鉛筆は、縦じゃなくて横のおなかのところでこするとやりやすい!」「濃いよりも薄くこするとうまくいくよ!」「力を入れすぎるとダメだから優しくやるといいよ」などなど、様々な発見が子どもたちの間から飛び交うようになってきました。小さな失敗をし、それをリカバーしようと自分で試行錯誤するからこその、この発見。まだまだここから磨いていきます。
加えて”記録”に欠かせないのが、そのものの特徴を言葉で記しておくこと。だからこそ、葉っぱをじっくりと観察し、その葉っぱにしかない特徴を、自分なりに言語化することにも挑戦していきます。
どんなことを書いたのかみんなでシェアタイム。
「葉っぱが、3つに分かれていると思っていたけど、よくみたらじつは5つに分かれていた!」
「葉っぱの大きさは、僕の手のひらくらい」
「ふわふわしていてかわいい」
「電気につけたら黄緑みたい」
「すじがしっかりしている」
「つんつんしていてかっこいい」
「うしろに茶色のぶつぶつがあった」
「線が傘のてっぺんみたいにみえる」
「りんごとキウイのスムージーみたいなにおい」
いろいろな視点でみていることがよくわかりますね〜!
だからこそ、ここでまた問いかけを行いました。
「じゃ、これって一言でいうとなんだろう?」
すると子どもたちから「えーっと、色!」「におい」「触り心地」「大きさ」「形」など、具体例を抽象化した言葉に置き換えた表現が出てきました。素晴らしい!
これまでバラバラに見えていたものも、実は特徴をタグ付けしていくことで、分類することができること。そして、それが全員の共通認識として定着してゆくこと。そんな視点の変換がここで起きていきます。
そこからさらに視点をぐーっと広げるべく「じゃ、自分が葉ンティングしてきた葉っぱの名前知ってる人?」と聞いてみると、、、
みんな顔を見合わせて、しーん。誰も知らなかった!!
「じゃ、どうやって知ることができるだろう?」と聞くと、図鑑、google、siriなどいろんな意見が上がってきましたが、今回のテーマのセントラルアイディアは「見れば見るほど見えてくる」。
まさに、”自分の目”をつかってとことん調べていくため、『葉っぱで調べる身近な樹木図鑑』という図鑑を一人ひとりに渡し、紅葉山公園で実際に照らし合わせながら葉っぱと向き合っていくことにしました。
すると、「あ!これはこの葉っぱだ!」「似てるけど違うかな〜」「でもこれ、たっのし〜い!」と、自分でどんどん調べる楽しさを味わっている子どもたち。
ただただ闇雲に採集していたところから、特徴の”観点”に気付き、そしてそのモノ自体に”名前がある”ことに気づいていく。この視点の変化と概念の構築によって、見えている世界がこれからどんどん変わってくるはずです!
MK
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)