【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】情報を読めば読むほど未来が読める。
<テーマ学習 レポート>
テーマ学習の序盤は子どもたちが既に知っていることやできることつまり先行知識(prior knowledge)をあぶり出すことを大切にしています。
初回は「天気」についていくつかの切り口で知っていることやそれらを可視化することでさらに浮かび上がる疑問や発見をどんどん模造紙に書き出していきました。
自分たちの発言を丸めずにそのまま記録された文章を見ながらさらに議論を重ねることで、どんどんメタな視点とともに考えも深まっていきます。
今回は「予測できること・予測できないこと」について思いつくこととその理由を語り合っていきました。
まずは子どもたちが思う「予測できること」。
・ごはんを食べ終わる時間
・できあがった料理の味
・地震(速報がある。P波とS波があり、象・鳥・猫はP波を感じるらしい)
この辺りはみんな「なるほど〜。」とうなずいておりました。
しかしある子が「オリンピック。」と発言した時に「ん??」と数人の子が反応しました。
Q:「なんでオリンピックが予測できると思うの?」
A:「オリンピックは日付も決まっているからだよ。」
Q:「それって予定であって予測っていうのかな?」
A:「ああ〜。そうか〜。予定かも。予測と予定って違うもんね。」
と「予測」という概念そのものが持つ範囲イメージの確認が早速始まり出しましたね。
しかしここで止まっていてはせっかくの盛り上がりがもったいないのでどんどん他の子たちにも「予測できること」について聞いていきました。
・明日の天気
・サイコロの目
・この先の運命
・流行
・老衰するタイミング(虫の知らせで分かるってよく言う)
・お花が咲く日(開花予想とかある!)
また「予測できないこと」にはこのようなものが挙がってきました。
・運勢(占いはおまじないだし、思いこみであって、ちょっとした洗脳)
・じゃんけん(予測できる派5人 できない派8人)
「じゃんけん」は予測できないという意見が出た時に、ちょっと待った!と言わんばかりに予測できる派の子どもたちも威勢良く持論を展開しだし、面白い話し合いが始まりました。
つまり「100%当たらなくても弟は大体チョキばかり出すからかなりの確率で勝てる」、など「じゃんけんの予測」には相手の傾向つまりデータが必要だということ。さらには予測は100%当たらなくてもいいんだ!ということ。
たしかに天気予報も確率であって、100%当たらなくても予測として発表しているわけです。
このような一見脱線したかのような話し合いの中にかなり重要な概念を広げる話し合いが起こるところがテーマ学習の醍醐味の一つなのでしょう。
他にはこのような意見も出てきました。
・恋に落ちる日
・スポーツの勝敗
・物をなくす日
・得体の知れないキノコの味(うまいのか?毒か?)
・病気
”病気”というキーワードからまた様々な考えが生まれてきます。
「病気はいつ発症するか確かに予測できないかも知れないけど砂糖を食べ過ぎているとか生活の仕方で、このままだと病気になりそうだとか”予想”はできるんじゃない?」と女の子。
「そうだよたぶん。予想して対策はできるはずだよ。」
そこでこれまでに出てきた「予測」・「予定」・「予想」・「予言」・「預言」という言葉についてそれぞれの言葉の意味の範囲や使い方についても興味津々に調べたり、分かったことを共有し合いながら改めて「予測」という概念についてそれぞれの知識が大きく更新されたのではないでしょうか。
「予測はデータを集めまくって行うんだよ。」とある子が言いました。
「データがないと予測ってできないのかな?」
「データがないとパターンが分からないもんね。」
「”予測”って漢字を見てみると未来を測るっていうことだもんね、”見通す”っていうことなんだよね。」
「預言だと(未来はこうなります!)ってすごい確率で当てちゃうんだもんね。だからなかなか預言や予言っていう言葉は使えないね。」
「予想は”自分が思うこと”として言ってもいいんじゃない。」
「予想ってただの勘?」
「でも勘もなにか意味あっての勘だと思うんだけど。。。」
「勘が働くのも経験があるからだよね。赤ちゃんがいきなり勘で雨が降りそうだ!とかならないよね!?」
勘と経験のつながりとは???
グルグルグルグルと思考が動いています。
すると「競馬の予測の場合は、馬体・騎手・調教師・取材班・勝ち鞍などのデータを全部合わせて予測するんだよ。」と乗馬大好きな子が教えてくれました。
子どもたちが議論していることは正にセントラルアイディアの「情報は読めば読むほど未来が読める。」という概念に迫る内容の知識の更新で、あっという間に白熱の元、制限時間いっぱいとなりました。
さあ次回からは「天気」の不思議に迫っていきます!!
YI
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)