【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】歴史の痕跡の発見は、時代の変化を洞察する旅に私たちを導く。
<テーマ学習リポート>
2回目のフィールドワークに備え、古地図と現代の地図を使って、事前に痕跡がありそうな場所を確認しました。
今と江戸時代の位置関係が一度にわかるので、道がそのまま残っている場所や痕跡があるかどうかも地図を頼りに発見できそうで、見ているだけでもワクワクしてきます。
日本橋の歴史探索コースを紹介している本も資料にして、見つけたい痕跡として次のものがあがりました。
・魚河岸の周りにある、はんぺん屋、佃煮屋、海苔屋
・三浦按針が住んでいた場所の按針町
・選ばれた京都の雛人形師のいた十軒店
・時間を知らせる仕事として使われていた時の鐘
・牢屋だった十思公園
・馬喰町のまわりの馬の痕跡、紙、布などの問屋街
特に、古地図に「囚獄」と書いてある場所に興味津々。今の地図には公園になっていることからどんな公園なのかイメージが湧いてきます。
「怖い公園なのかな。」
「そこでお弁当食べるの?ちょっとヤダな。」
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さぁ、スタートの日本橋にやってきました。
「あー、この道覚えてる。」
前回にゴールとしていた場所なので周りの景色を見れば、地図での位置確認もしやすくなっています。
痕跡を探すだけでなく、その理由も探るべく一次情報を得るために、直接まちの人に自分から声をかけてインタビューできるかどうかも試してみたいことであります。
早速、日本橋の近くにあった観光案内所に入って行きました。
「山本屋の海苔屋さんがまっすぐ行ったらあるみたい。」
「これは昔のお店みたいな建物だけど、なんか新しそう。」
「ここに書いてあることって痕跡に関係あるかな?」
目に止まった気になるものは、近くにいって確かめてみます。
「両替商ってことはお金を使うことだから銀行になってるのかな。」
書かれていることからわかることを読み取っています。
按針町のあたりを歩いていると、お店の人に話しかけられ立ち止まると、そこは海苔屋さん。佐賀海苔と書かれています。気づいたら日本橋をまっすぐ歩くことを忘れてしまっていたものの、おかげで海苔だけを売っているお店とその隣に石碑を発見。按針さんのいた場所は石碑になって残されていました。
電信柱から、ここが按針通りであることもわかり、通りの名前が痕跡であることも発見。
まちゆく人にも着目。スーツを来てるけど荷物は持っていない人たちを何人も見かけます。お昼時間ということもあり、昼食のために出てきた人たちなのでしょうか。人が次々に入っていくお店の前を通ると、これまたお店の人から「ここはね、日本で初めてできたお弁当屋だよ。」と話しかけてもらいました。お店の社長さんで、全員に創業の歴史のパンフレットを配ってくれました。江戸時代からのお弁当は日持ちするよう味を濃いめに作っていて夕方まで大丈夫とのこと。スクールに戻ったらみんなで食べてみようとひとつ購入しました。
次は、自分たちから話を聞いてみよう!と、人のいないお店に入ってみることに。本でも見たはんぺん屋を見つけました。
「江戸時代から味と作り方を変えてないんだって。」
「売れるときはたくさん売れるんだって。」
「そのまま、わさび醤油で食べるのがおいしいっていってた。」
そこまで聞いたら実際に食べてみたいよね。こちらも自分たちのお土産に。
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時の鐘を目指して歩くも見つかりません。道が違うのかな。水路が埋められ、今はなくなっている道もあります。迷っていると天ぷらやさんを発見。昔は屋台だったお店が建物に変わっていました。痕跡があるものもあれば、消えてしまうということも考えられます。時間も限られているため、時の鐘の場所は諦め、牢屋のあった公園に向かうことにしました。
公園には、お昼を食べている大人の人、遊びにきている小さな子たちがいました。そして、時の鐘がここに移動して置かれていました。
牢屋の石垣も残されていました。
また、ここで死罪となった吉田松陰の慰霊碑に花が手向けられていました。幕府を批判したことで牢屋に入れられたと書かれています。「え、そんなことで逮捕?」江戸の安政時代に起こった安政の大獄。いったいどんな事件だったのか気になるところです。
十思公園を出て、問屋街に向かいます。お屋敷から町人街へ街並みも少し変わってきた様子です。一見、普通のお店に見えますが「小売いたしません」と書かれたお店がほとんど。お店の人が買いに来る問屋であることがわかります。
何十年も続いているお店もあれば、オープンしたばかりのお店もあります。そして、移転してしまった和紙のお店、閉店してしまったお店も。
馬喰町に来たものの、馬の痕跡はなさそうです。初音の馬場があった場所の近くには「郡代屋敷跡」の看板がありました。火事にあって、江戸城近くからこの地に越してきたと書かれています。
ゴールにしていた浅草橋に到着。橋を渡ると人形のお店が。十軒店付近には行きませんでしたが、江戸時代より続くお店がここにありました。
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弁松屋のお弁当と神茂のはんぺんを実食。
お弁当は社長さんからもらったパンフにあったように「濃ゆい味」かを確かめます。おいしい、おいしいと大好評。偶然に出会って得たフィールドワークの醍醐味ですね。
お刺身でいただいたはんぺんは意見が分かれました。
ただ、どちらも身近に売っているお弁当やはんぺんに比べると高値。
味や材料を守り続けるために価値が高まったともいえそうです。
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2019年度 年間プログラム(PDF) ・ テーマ学習一覧表(実施内容)