【探究領域】共存共生
【セントラルアイディア】互いの人権・自由・正義の尊重が平和の基礎となる。
<テーマ学習 レポート>
いよいよ今年度最後のテーマ学習!
5年生ラストを締めくくる共存共生が探究領域の「Borderless World」です。
タイトルを伝えると、開口一番「人権のテーマでしょ?」と、キッズ。
去年、先輩たちが頻繁に口にしていた”キーワード”として、耳に残ったいたようです。
そこで、まずは先行知識を確認すべく「人権ってなんだろう?」と問うことから、今回のテーマを始めることにしました。
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「人が持っている権利。〜〜できるっていうことでしょ」
「日本国憲法に、基本的人権を守ります。って書いてあるじゃん。
だから人間的最低限度の生活は保障されているはずだよね」
「でもさ、権利って立場によって変わってくるものなんじゃない?天皇とか国の政治家が持っている権利と、自分たちが持っている権利に差があると感じるんだけど。」
「だから、人権って偉い人が持っているものなのかも」
「でも、人間って生まれた時はみんな平等なはず。だって筆写道の中でも孔子先生が言ってるじゃん。”学習や習慣によってのみ差が出てくる”って」
「だとしたら、お母さんのお腹の中で育つ段階で、いつから”人間”になるんだろう?それまでは人権はないってこと?」
以前のテーマ「似て非なるもの」や「治の力」、毎日欠かさず向き合っている筆写道など、いろんなタイミングで学んだ知識が、ここでつながり一つの線のようになってくる。と同時に、子どもたちの中でモヤモヤが渦巻き始めているのは、学びの始まりとして良い準備運動でもあります。
そこで今回のセントラルアイディアを提示することにしました。
「互いの人権・自由・正義の尊重が平和の基礎となる。」
すると、ここで子どもたちが一番引っかかったのが、「正義」という言葉。
「孫悟空やアンパンマン、戦隊ヒーローたちって”正義”なのかな?」
「悪いことしたやつらを二度とやらないようにして、良くするから」
「でもさ、結局アンパンマンだってバイキンマンを殴ってるよね」
「たしかにそうだけど、誰かのためにやってるとなると違うのかも。視点によって違ってくるんじゃない?」
いいですね、一人の投げかけにそれぞれがワッと反応し、視点の違いによる意見が溢れ出てくる。まるでジェットコースターに乗ってるがごとく、子どもたちの思考スピードもどんどん加速していくのがわかります。
とここで、Hくんが一言。
「現実世界は、正義なんかで戦うより、自分のものにしたいという人が多いんじゃないの?」とポツリ。
この言葉に、他の4人も「うーん。。。」と考え込んでしまいました。
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そこで今回は、「第二次世界大戦の惨禍を二度と繰り返すまい」と堅く誓った国々が、1948年に国連で採択した「世界人権宣言」をもとに、子どもたちと読み込んでいくことにします。
条文は全部で30条。
内容がわかりやすい訳語でまとめられている「人権パスポート」を初読し、まず印象に残った箇所とその理由を書いてもらったので、一部ご紹介します。
<女子A>
第25条 幸せな生活
だれにでも、家族といっしょに健康で幸せな生活を送る権利があります。病気になったり、年をとったり、働き手が死んだりして、生活できなくなった時には、国に助けをもとめることができます。母と子はとくに大切にされなければいけません。
=>家族と一緒に暮らせるというのが、自分にとって一番の幸せ。ここまで何もなくこれたのは本当に幸せだと考えた時、そうじゃない場合もあるのではないか!?と思うから。
<男子B>
第19条 言いたい・知りたい・伝えたい
わたしたちは、自由に発言を言う権利があります。だれもその邪魔をすることはできません。人はみな、国をこえて、本、新聞、ラジオ、テレビなどを通じて、情報や意見を交換することができます。
=>明治時代にも、戦争や国を批判したことで村八分になったり新聞が廃刊になったりしちゃったことがある。ある言葉や行動が戦争の引き金になることもある。だからこそ、そんなことが二度と起きないようにという意味で、この箇所があるのでは?
<女子C>
第22条 人間らしく生きる
人には、困った時に国から助けを受ける権利があります。また、人にはその国の力に応じて、豊かに生きていく権利があります。
=>人間らしいって、そもそもなんなんだろう。生まれた時点で、自分は人間なんだもん、それ以外なにらしく生きれるっていうの?自分が今ある形のままに生きれば、それが人間らしく生きるってことになるのだろうか?
<女子D>
第14条 逃げるのも権利
だれでも、ひどい目にあったら、よその国に救いをもとめて逃げていけます。しかし、その人が、だれが見ても罪をおかしている場合は、べつです。
=>こわいことがあったら、逃げてもいいよってことが印象に残った。でも世界には難民がたくさんいて、日本はそのうちのたった2人しか受け入れてないのはどうなんだろう。。。
<男子E>
第25条 幸せな生活
だれにでも、家族といっしょに健康で幸せな生活を送る権利があります。病気になったり、年をとったり、働き手が死んだりして、生活できなくなった時には、国に助けをもとめることができます。母と子はとくに大切にされなければいけません。
=>母と子はとくに大切にされなければいけません、って書いてあるけれど、父はどうなっているんだろう?なぜ母と子は「とくに」なんだろうか。
MK
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2019年度 年間プログラム(PDF) ・ テーマ学習一覧表(実施内容)