【学年】 3年生4年生
【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】感性と情緒が凝縮された言葉は、人の心を結びつける。
<テーマ学習レポート>
テーマ「詩人の旅(G3-4)」week1
手記や小説、ブログ、つぶやき、果ては期限付きの動画にまで(!)、言葉の限りを尽くし、日々、誰かが何かを発信し続けている。それほどまでに「自分の気持ちを、誰かに伝えたい」という強い気持ちは、単なる思いを超えて、人の心に届けるための表現になりますよね。
だからこそ、今回3・4年生が取り組むテーマは、「詩人の旅」。
「意思表現」という探究領域のとおり、どんな言葉を選び、紡いで、自らの思いを形にしていくのか。そんな表現世界にどっぷりと浸かっていきます。
中でも、今回挑戦するのは「詩」の世界とあって、作文とはまた一味違い、感情を言葉としていかに凝縮できるか、そこに本テーマの学びがあります。
そこで、まずは子どもたちが「詩」についてどんなことを知っているのか、感じているのか、探っていくところから始めることにしました。
「見たこと、感じたこと、心に残ったことをそのまま書く」
「短い文章で、繰り返したりするもの」
「リズムに乗って読む、歌みたいなものじゃない?」
「いろんな表現やオノマトペが使われているよね」など、
様々な意見が出てきました。
中には、「自分にはわからない気持ちを想像するのが、詩なんじゃない?」なんて核心をつくような意見も!
ということで、「考えるより感じる!」ために、紅葉山公園へ出発。行き慣れた場所にプチ旅して、探検しつつ詩を書いてみることにしました。
「まずは探検してみようよ」くらいの気持ちで向かったのですが、公園内に着くやいなや、「ねぇ、詩を思いついちゃったから、もう書いてもいい?」というキッズが何人も。
ダメなわけもなく、もちろんどうぞという前に(笑)、すでに書き始めていました。
一方で、辺りをさまよいふらふらするキッズ、「言葉が思いつかない」と悩んでいるキッズなど、手が進まないキッズたちもいて、まさに千差万別だなぁと感じます。
しかし、「ただの公園でも、こんなに詩が思いつくと思わなかったよ!」と嬉しそうに話す様子に、こちらもなんだか嬉しくなってしまいました。早速、子どもたちの持っている詩心が触発されていることがうかがえます。
スクールに戻ってからは、それぞれどんな詩を書いたのか、どうやってつくったのか、発表してもらいました。
「対象物が自分に話しかけてきてくれるイメージで書いた」
「もしも○○だったら?と想像して書いた」
「歌みたいに、あるフレーズを繰り返して書いた」
「昔風の言葉を使ってみた」など、
それぞれが持つ詩のイメージに当てはめながら言葉を探し、たった30分足らずのプチ旅で、34個もの詩を書き上げたツワモノもいました!
しかしその中でも、A4用紙3枚ほどを使って「ひとつの詩」を完成させた!というキッズが3人ほど。
どんな大作かと思って読んでもらうと、
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友達が前を歩いている。鳥の声が聞こえている。葉っぱが落ちてきた。
僕は思った。「○○○」と僕は言った。
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のように、短いセンテンスの羅列。それがびっしりと書かれています。
それを聞いた他のキッズたちからは、「これ、なんだかふつうの文章とか作文みたいじゃない?」という反応が出てきます。
そこで、自分たちの書いた詩を見直し、共通点や相違点をみんなで話し合ってみると、「目の前で見たこと聞いたこと、行動したことを”全部”書いているから長くなるし、作文みたいになるんじゃない?」との見方が出てきました。
セントラルアイディアをもう一度みてみると、”凝縮”というキーワードがみんなの目に留まります。
「凝縮=全部入れること」と解釈していたキッズがいたのですが、
「あれ、もしかして、凝縮ってただ全部を入れることじゃないのかな。そうじゃなくて、ぎゅっとまとめたり短くしたりすることなのかも!」と、気づいた様子。この議論のおかげで、全員が「凝縮する」という概念を共にできた大事な局面となりました。
むむ、やるな。3・4年生たち!
これこそが、「詩」の真髄に迫っていくために不可欠な観点。
1週目にして、おぼろげながらそこに気づけた詩人の卵たちは、これからどんな旅へと出掛けるのでしょうか。
詩人の旅は、始まったばかりであります!
MK
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(参考) TCSテーマ学習については、以下よりご覧ください。
2018年度プログラム_基本形 ・ テーマ学習一覧表_実施版