【学年】 5年生6年生
【探究領域】自主自律
【セントラルアイディア】私たちは私たちのために生きている
<テーマ学習リポート>
「個の尊厳」3
「死ぬ前にやりたいことやっとかないとな。」まさにその通り。
自分の人生でどう生きたら、充実した人生を送れるだろうか、悔いのない人生にするにはどう苦難を乗り越えたらいいか、年表作りに入ります。
題して「人生楽ありゃ苦もあるさ年表」です。といっても、子どもたちの頭にあの歌は流れてきませんでしたが。
まずは、自分がこれまでどう生きてきたかを振り返ります。「楽」の部分は、楽しかったこと、うれしかったこと、苦労しなくても楽にできたことを書き、「苦」の部分は、苦い失敗談や自分にとって苦しかったことを書き出していきました。
「楽」は書けても、「苦」が書けない。「苦」は浮かぶけど、「楽」は少ない。または、どちらも書けない。などなど、進み具合は人それぞれ。「楽」は自分が楽しいと思えること、興味があること、自信へとつながることなどの「自分自身の強み」であり、「苦」は自分の弱さや甘さゆえに起きてしまった経験、つまりは「変えたい自分」であり、「自身の弱さ」と直結します。ここで自分を分析し、さらけ出せるかどうかで、自分の未来を豊かに想像していけるかが見えてきます。
自主自律領域のテーマ学習「To Be or Not To Be」では、自分の強みと弱みを探っていきました。でも、忘れていたり、経験していなかったりしていることもあることから、年表の資料として、自分について改めて振り返ってみました。
「これはストーリーパークには載せないで!」「見られたくない」という声が。それだけ、赤裸々に綴っているということの表れだと思い、その意を酌むことにします。
さぁ、いよいよ、未来の年表を描いていきます。
「生とは想像である」「生が想像的なものであるという意味において幸福も想像的なものであるということができる。」「生きることこそがそもそも冒険である」三木清の『人生論ノート』に出てくる言葉を紹介しました。
現実に起こることじゃない、作り話にすぎないと言ってしまったら、想像はできません。想像は創造の原点であり、自ら人生を創り出すこと、そしてそれを楽しむことすらしなくなってしまいます。何がやりたいか、楽しく想像しつつも、そう簡単に夢は達成しないことも想定していくのです。
年表には、これから起こり得るだろう社会の変化も入れていきます。例えば、AIがどれだけ生活に関わってくるのか、また、国際情勢の動き、自然環境がどうなっていくのか、それによってどう自分が影響されていくのかを描いていきます。
100年は生きたい。そうすると、50歳で人生半分。いろんな道が描けます。その中で欠かせないのが出会いと別れです。「あ、親の死もあるんだ。」との発言にみながドキっとさせられる瞬間がありました。「嫌だけど自分が先に死ぬ方がもっと嫌だ。」と、自分の寿命と同じにしてみたり、ひ孫が生まれるまでと想像してみたりとここは丁寧に考えていたようにみえました。遠い未来ではあるものの、こうして考えることで、一緒にいられることが当たり前でないことと捉えているように見受けられます。また、どんな人に出会えるのか、交友関係をどう広めていくか。これは、誰に最期を見送ってもらいたいか、誰に弔辞を読んでもらいたいかに関わってきます。
そして、最終関門、弔辞作成です。何十年も先の未来に書いているであろう内容であること、そして、自分でない人物の視点で書くということ、さらにその人が今はまだ出会っていない人なら、なおさら難易度は上がってきます。けれども、自分をこう見てほしい、こんな人生を歩んだと知っていてほしいという観点で書いていくことで、自分の描いた人生の全体像がはっきりとしてきます。弔辞と年表を行き来し修正を重ねた末、明日いよいよ読み上げます。
AN
——
(参考) TCSテーマ学習については、以下よりご覧ください。
2018年度プログラム_基本形 ・ テーマ学習一覧表_実施版