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意味のある停滞

[6年生]

セントラルアイデアが固まり、キーコンセプトで本質に迫る問いを立ててリサーチ&シンキングを進めてゆく流れはできたとしても、淡々とプロジェクトは進みません。調べれば調べるほど、考えれば考えるほど、どんどんもやもやが増えてくる。それが「探究」です。

「どうして小さなコミュニティがいいのか……」

まちづくりが生き方と働き方を変えるというセントラルアイデアで、自然と一体化したまちづくりを提案しようとしている子が悩んでいます。自然の中で循環する小さなコミュニティ……全然悪いことを言っていない。むしろこれから求められる理想のまちの形態のように聞こえます。しかし、だからこそキレイゴトを述べているだけで、なぜそれがいいのか、どう具体的に実現するのか、自分なりの提案が伴わないと説得力が出てきません。どこかに書いてあったこと、誰かが言っていたことをそのまま写しただけになってしまうのです。それがわかっているからこそ悩んでいました。

「小さいと困ることってある?」

一つの方向に固まって煮詰まっているときは、逆の方向に考えてみて、発想を広げてみます。大きい方がいいこと……そこだけでなんでも手に入る、多くの人に助けてもらえる……という発想が頭に浮かんできます。そこですかさず

「じゃあ、大きい方がいいってことね」

と挑発してみます。すると

「いやあ、そうとも限らないよ。だってもし大きい方、多い方がいいなら、大都市の人はみんな幸せなはずなのに、ラッシュでぎゅうぎゅうづめで疲れている感じだし、人と人とのつながりもないよ」

なるほど、なるほど、本当にそうだ。どこに言っても人ばかり。狭いスペースに住み、のびのびとする場もない。じゃあさらに挑発するけど、それでもどうしてみんなは大都市にこだわるんだ?

「う〜ん……便利だから。それにお金が稼げないからかも……」

おお、だんだん核心に近づいてきた感じ。頭がぐるぐるしていて探究しているねえ。じゃあ、お金の問題がなんとかなって、便利に効率的にやらない方がなんか豊か!っていうイメージをつくればいいってことかな。ではそれと君が提案したい「小さい」っていうこととどうつながるんだろう?……

「地域通貨っていうのを聞いたことがあるんだけど……」

ここまでいろいろリサーチしてきたバラバラな知識がつながり始める瞬間です。地域通貨なんて調べてたんだ。教師もよくわからない知識を子どもが持ってきます。そういうときは子どもに巻き込まれて一緒に学べばよろしい。一緒に資料を読みこんでみると、地域通貨というのは、たとえば、犬の散歩とか買い物の代行とか、作りすぎてしまったジャムとか、そのレベルでの労働や品物を、お互いにやりとりし、あげた方は相手からポイントをもらい、もらった方はマイナスのポイントがつくというものです。これだとお互いの顔がわからないとうまく回りません。

「だからコミュニティが小さくないとうまくいかないんだよ」

おおっ、やっと「小さい」ことのメリットが自分なりに見えてきましたね。「地域通貨」によってリアルな「現金」を補えば、お給料が減った分を埋め合わせできる。お給料が減ってもいい働き方なら、別に大都市にある会社に勤めることにこだわることはない。そうすれば、通勤時間がない、職住一致も可能。そのうえ労働時間も短縮できれば、使える時間がたくさん増える。朝はゆっくり農作業。自分の服は、糸をつくり、色を草木で染めて、自分で織ってつくる余裕も生まれる。もしそれがなかなかのもので、人気が出れば、自分で着られるだけでなく、誰かに売って「現金」を得ることもできる。

一気に、いろいろな考えがつながってきました。いやあなかなか魅力的な「小さいコミュニティ」じゃないですか。私も君のまちに住みたくなってきましたよ。

このようにまとめて書いてしまうと、スムーズにいったように見えてしまいますが、何も考えが出なくて止まってしまう瞬間の連続でした。「沈黙は金」と言いますが、TCSの真骨頂は「金の沈黙」。何も考えていないから黙ってるんじゃない。考えているからこそ黙るのだ。質の高いアウトプットへとつながる、まさに意味のある沈黙、意味のある停滞なのです。

RI

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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