【探究領域】共存共生
【セントラルアイディア】互いの人権の尊重が、自由・正義および平和の基礎となる。
<テーマ学習> 〜レポート
5年生たちの今年度最後のテーマ学習は「Borderless World」です。この【探究領域:共存共生】では、私たちはいかにして葛藤を乗り越えて共に幸せになるのか?ということを探究していきます。テクノロジーも進化して場所や時間を選ばずとも世界中どこにいていも瞬時につながり、画面越しに話し、やりとりすることが可能となってきたこの時代。ある意味では正しくボーダーレスな社会に私たちは生きているということができるでしょう。しかし人と人の間には目に見えないいくつもの”Border”が存在します。
子どもたちとはまず、”Border”とはどういうことなのか考えていきました。
「Borderってシマシマって意味かな?ボーダーシャツとかあるじゃん!」
「あとさ、国と国のBorederっていうよね。国境だ!」
「武蔵境は武蔵の国の境目だったんだよ。多摩境もあるし。」
「たしかに駅名に多いね。境目か。」
「人と人の間にも目に見えない境目って実はあるよね。」
テーマタイトルの意味を考えるところから始まり、”境目”という概念について思いつくことをたくさん語ってもらいました。
まず挙がったのが”男女の境目”。女性サービスデーや女性専用車両はあるが、一方で男性が優遇されるサービスは少ないのでは?なんで男性専用車両はないのだろう?といった疑問が浮かびました。少し掘り下げてみるとある子は「女性の方が男性よりも害を受けやすいという偏見があるからだと思う。」と発言してくれました。たしかに、偏見というのは”境目”について考えていく上で重要なキーワードとなってくることでしょう。
「おじいちゃんが男は女には手をあげてはいけない!って言っててさ、なんで男だけなの?って思っちゃった。女は手をあげていいわけ?そんなのおかしくない?」
続いて”年齢”です。
「上下関係とか年齢ですごく境目あるよね。特に中学行くとすごいらしいよ!」
「韓国でも上下関係厳しいって聞いたことあるよ。」
「でもオーストラリアやアメリカでは全然上下関係ないよ!そもそも英語には敬語ってないしね。」と国による境目の違いも浮かび上がってきました。
「”国籍”もあるんじゃない?黒人と白人とかさ、イギリス人と日本人とか。人種差別ってあるでしょ?」
「私は”障害”も”境目”だと思う。障害者って就職しずらいみたいだし。」
「この前、車椅子の人が電車に乗ってたんだけどね、その人が降りた後で、あ〜 せまかったー!って言ってる大人がいたんだよ。」
「最低。」
やはり子どもたちも日常の中で様々な”境目”に触れる機会があるようです。続いてさらに子どもたちが知っている・感じている境目について視点を広げていきました。
「”学歴”って言うのもあるんじゃない?」
「私も中卒はちょっとな、って思うんだよね。だってさ、中卒ってことは中学までしか勉強していないってことでしょ。それでいきなり仕事を任せるって言ってもねえ。本当に色々できるの?まだできないでしょ?って思っちゃう。」
他にも子どもたちからはいくつもの”境目”が出てきました。
・名前。キラキラネームもあるし、ふざけた名前もある。悪魔ちゃん天使ちゃんなど。
・金や地位。金や地位がある人は信頼できると思うとの意見が多し。
・見た目。モデル級にかわいい子は性格が良くても男子から人気が出た時点で裏で女子からいじめられる可能性あり。そこで登場するのが”あざとい女”で、このタイプは女子には悪いことは言わないので男女から好かれやすいとのこと。ぶりっ子も存在するが、ぶりっ子は大抵本物のマドンナには叶わないことが多いらしい。
・運動能力etc
他にも腐女子や腐男子についても色々な考察を語ってくれたり、オタクが偏見をもたれている件などについても意見が広がりました。つまり、やり過ぎると偏見を持たれるのではないかと。例えばビートルズのファンがジョンレノンを暗殺したのもやり過ぎだし、ファンもやり過ぎるとストーカーになってしまう。
その上で”境目”をつくっているのは人間のイメージであるという考えがキッズたちの発言から浮かび上がってきました。つまりそれは意識の境目であるということです。
このテーマ学習では私たちが持っている大切な権利である”人権”にスポットライトを当てて考えを深めていきます。
そのため人権パスポートを子どもたち全員に配布しました。
世界人権宣言についてじっくりこちらもみんなで熟読しながら全30条について語り合っていくことになります。
YI
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2022年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)