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「世界フード記」5年・6年生 テーマ学習 レポート

【日本のフードと風土】

今年度1つ目のテーマ学習は5、6年生複学年で学んでいきます。 2年ぶり、久々のメンバーでのテーマ学習、また5年生にとってはSharpゾーンになり気持ちも新たに学びに向かいます。

そんな中、話題は「今日の朝食は何を食べてきたか」

どんなテーマなのかと不思議そうなキッズでしたが、思い出しながら今朝食べてきたものをあげていきました。 中には朝食を食べてこなかった!という子もいましたが、それでも「いつもだったらご飯食べてきてる!」という発言があり、普段食べているものにも視点が向いていきました。

その中でも「主食」という観点で見てみると、「ごはん」と「パン」で分かれる様子。 ほかには「味噌汁のみ」や「うどん」といった朝食も。

朝食はお家の人が作ってくれるから「私の意思じゃない!食べたくて(このメニューを)食べているわけではない!」と発言したのがKさん。

とすれば、どんな朝食がいいのか!?という議論に発展。 やはり「ごはん」という意見が多かったのですが、「ピザ」や「カップラーメン」、「焼きそば」、「チョコレートケーキ」といった意見も。

おや、ごはんが優勢に見えたのですが、「原料」という視点で見てみると、実は「小麦」を使う食材が多いのでは!?

「でも小麦って日本ではあまり育ててないよね」という声があり、わたしたちが食べたいものって日本で作られていないものばかりなのでは!?という発見もありました。

明治時代から海外の文化も入り、洋食が増えてきましたが、それでもお米は食べられ続けています。「あたりまえ」で済ませずに、なぜお米を食べているのでしょうか?

美味しいから
腹持ちがいいから
保存が効くから
昔はお金として使われていた、価値があったものだから
条件がいい(温度や土、水が多いなど)
木じゃないから、(収穫)できるまでの時間がかからないから。

5年生で「コメタン(お米の探究)」を経験した子達からは、コメの生育条件についても意見が出てきました。

米が作られているのは、日本が米を育てやすい環境だから、とすれば他にも日本で作られている/獲れているものも「環境」がポイントなのでしょうか? 環境?条件?そんなキーワードを考えながら、セントラルアイディアを考えてみました。

「フードの源は風土にあり。」 駄洒落じゃん!というリアクションがまず第一声でしたが、ちゃんと単語にも目を向けて考え始めるのはさすが高学年!

「フード」は今まで話してきたお米とか小麦とかいろいろある、、、

「風土」ってなんだろう?風と土?
辞書によると「その土地の気候や地形など」。
気候っていうと気温とか雨の量らしい! それってどうやって決まってるんだろう?
山が多いのがポイントだと思う!
南北に長いから、北海道が寒くて沖縄は暑いんだよね。

などなど、子どもたちが疑問を浮かべてはお互いに辞書で調べたり知っている知識をつなげたりしていきます。

じゃあ実際にフードと風土が関係あるかはどうやったらわかるのでしょう。お米だけでなく、きっと他の作物も調べてみると、その産地から何か見えてくるかもしれない。

ということで、実際にインターネットを活用しながら、調査していくことにしました。

グループに分かれてリサーチします。

5年生はMacBookを貸与され、まだまだ使い慣れていないところがありますが、そこは6年生がうまくサポートしながら調査し、結果を表にまとめていきました。

データベースでは日本で獲れるものについて、その収穫量のランキングを県単位で調査し、上位の県を表にまとめ、それらの件を日本地図に色をつけて位置関係も調べました。 調査しながら、さまざまな県名、地名が飛び交っていました。

「米の生産は東北が多いよね、秋田とか新潟とか」
「新潟は東北じゃないよ!」
「ちょっとまって、福島ってどこ!?」 都度地図で確認しながらまとめていきました。

日本にある川や山脈などの位置も考えつつ、ランキングに対して「どうしてそのランキングになっているのか」「どうしてその県で生産量が多いのか」を考察していきました。

すると「お米は昼夜の寒暖差が美味しくなるためには必要」というその作物の特徴も大切だと見えてきました。寒暖差が大きい地域、また春先に水量が多いとなると、雪の降る東北地方が当てはまります。東北地方でも雪が多く降るのは日本海側、となると秋田や山形で生産が多いのも理由が見えてきました。

他にも、みかんには温度や日射量、降水量のバランスが必要で、気温に直目すると、暖かくて寒暖差が少ない方がいい。そうした気候をもつ和歌山や愛媛、静岡での生産が多いことと合致していました。

「マグロ」について調査したチームでは、ランキングだけでは県がバラバラという印象しかなかったが、「海流」に着目してみるとヒントが見えてきたようです。

ただ、マグロは南から北上してくるのだが、鹿児島で日本海と太平洋側の二手に分かれしまいます。なのに太平洋側での漁獲量が多いのはどうしてなのでしょう?

仮説ではありますが、大阪や東京など人口が多い都市が太平洋側に多いから、その分取る量が多いのではないかという説が出てきました。 たしかに、食べる人(需要)が多いとその分生産も多くなりますね。こうした消費する量という観点も生産量を考えるときにはポイントになりそうです。

     

リサーチした内容はみんなで共有し、考察を含めてみんなで考えていきました。日本の中だけでもその土地土地によって作れるものは違う上、同じ食材でも食べ方が違うなど「食文化の違い」があることも見えてきました。

どうやらその土地で食べられているものには、その土地の風土が関係しているようだ、と少しずつ見えきた子どもたち。

日本の中でもこんなに違いがあるのならば、海外ではどんな食べ物が食べられているのでしょうか?

テーマタイトル「世界フード記」とあるように、このリサーチで使った観点を持ちながら「世界」に目を向けていきたいと思います。

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【4月22日はアースデー!?】 4月22日にコンピュータを立ち上げ、Googleを開いてみると、何やら北極の万年氷が溶けていく様子が…

クリックしてみると、「アースデー」とのこと。

地球環境保護の支援を示す日であり、現在の地球環境がここ数年で激変してきているという情報が大量に出てきました。

3、4年生時のテーマ学習「限りある資源、限りなき欲求」でも地球環境の変動について学ぶ機会があったキッズ。この話題を取り上げると「地球温暖化」という言葉から、その影響となる「海面上昇、異常気象、砂漠化」などなど様々な知識が挙げられました。そして、この環境の変化が私たちの「食」にも大きな影響を生み出しているらしい。

今後50年以内に食べられなくなるもの、などがまとまったサイトも多く、調べてみるとかなり身近な食材が食べられなくなる可能性がたかいのだとか。

赤貝、サンマ、イカ、イクラ、ヒラメ、、、これらが近い未来に食べられなくなると、お寿司屋さんはどうなってしまうのだろう?

当然、食材が少なくなればお店を続けることは難しくなってしまいますね。みんながお爺さんお婆さんになる頃には「昔はお寿司というものがあってねぇ..」なんてお話をすることになってしまうかも!?お寿司が苦手でも、焼き魚が好きという子もおり、今後の食生活はどうなっていくのかと不安な様子。

近年耳にするようになった「昆虫食」や「合成肉」などがそれらの代用になってくるのでしょうか?

 

以前キッズと書き出した和食マップ。これに当てはめて赤色で印をつけていくと、こんなに多くのものが食べられなくなってしまうことに。。。みんなの思い浮かべる和食のマップが和食のレッドリストになってしまいました。

こうした食糧難がくると、少なくとも値段が高くなってしまうのでは、という意見が。 今のように食べられなくなってしまうくらいなら、今のうちにたくさん食べておこう、という意見もあれば、今後食べられなくならないように消費量を抑えようという意見も。

みんなが十分に食べられる分の食料を確保していくことは世界規模での大きな課題になります。 ちょうどエキシビションでSDGsに触れている6年生は環境問題や気候変動について調査していることもあり、今回の食に対する影響について自分たちにまとめている様子が見られました。

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和食について様々な品目が挙げられ、どこまでも広がっていきそうな様子でしたが、原材料やその製法などに着目してみると「和食」というものがどういうものかが少しずつ見えてきます。「発酵」という反応は日本食の大きなポイントになるようですね。

一方で和食(あるいは日本食)と考えられるが、元々は海外から入ってきた食事もあることが見えてきました。カレーはインドが発祥で、ラーメンは中国が発祥、けれど今日本にあるお店は「日本人の好み」に合わせて変化してきたものではないかと考えていきました。

少なくともインドのカレーとカレーライスは違うものだよね、という意見もあれば、いや同じものと言えるんじゃないか。と意見が分かれるところでもありました。

日本っぽくなっているかわからないけど、インド料理のお店にカレーライスはないよね、カレーとライスはあるけど。という子も。

面白い着眼点ですね。ルーツは一緒でも日本で変わってきた食事もあるようです。 外国の料理が話題に出てきたところで、日本で食べられる海外の料理も多いという話に広げていきました。

すると「タイ料理はおうちで作って食べることがある!」「ナンとか好きでよく食べにいく!」「ピザも海外の料理ってことになるのかな?だとすれば時々食べるよ」などなど、あれこれと品目を挙げていきながら、食べたことがないという人には随時その食べ物を共有していきました。 とはいえ、話を聞いただけでは雰囲気が伝わった程度。

百聞は一見に如かず、いや、百聞は一味に如かず! 実際に海外の料理を食べにいこうではありませんか!

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【世界のフード】

中野には多くの飲食店があり、調べてみると海外料理のお店も多くありました。「タイ料理」や「ベトナム料理」などのお店は数店舗あり、どのお店がいいのだろう?と話しながらお店を探していきました。 色々なお店を回るとなると、中野駅北口の商店街一帯に多くお店が集まっていることがわかり、いざ、出発です。

中野は「アウトドアディ(街)」などで何度も歩いたことがある場所ですが、今回は「海外の料理」を「食べる」目的で散策です。目だけでなく耳や鼻を使って歩いているキッズ。お昼時目前ともありいい匂いが溢れていました。

今回の外出では海外の料理を食べてみるだけでなく、実際にお店の人にインタビューをしていきます。

・その料理はその国でどのくらい食べられているのか?
・現地ではどのくらいの値段で売られているのか?
・日本で売っているものと味の違いはあるのか? などなど、現地の様子を聞きながら、その国の主食となるフードを巡っていきました。

まずはベトナム料理の「フォー」

こちらは米を粉にして作った麺料理。現地では牛肉、鶏肉などそれぞれの肉のスープがあり、どれも一般的に食べられているそうです。同じアジアの料理だからなのか、どの子にも好評の料理でした。

ただ、麺類を最初に選択してしまったため、他の料理を集めるまでにのびてしまう可能性があったので、急遽ベンチで試食という事態に。。。

次の目的であったクスクスのお店の前に移動して食べつつ、手が空いているキッズはクスクスの入手に向かいます。 が、なんとその日はお休みとのこと!Googleマップでは営業中だったのに、と落胆するキッズでしたが、そこに男性店員が来てクスクスを1人前プレゼントしてくれました! (ちゃっかりとクスクスの歴史をインタビューする子ども達!笑)

発祥はアフリカのモロッコ。そこから出稼ぎにヨーロッパへ向かったモロッコ人が伝え、美味しい!と世界中に広まっていったそうな。

こちらはトルコ料理で有名な「ケバブ」のお店。注文しながらインタビュー!
 

トルコでよく食べられているのはどの形ですか?と聞くと、ケバブサンドが一般的とのこと。今回はみんなで取り分けるので断念しましたが、「おいしかったらケバブサンド食べに来よう!」と話していました。

トルコの様子なども熱心に聞くキッズたちに店員さんも笑顔で対応してくださった上、ぜひまた食べにきてね!とトルコアイスをプレゼントしてくれました!せっかくなので、こちらもみんなで美味しくいただきました。

さらにお店を周り、インド料理、タイ料理、中東料理などを入手して回ります。

「早く食べたい!」と連呼しながらもしっかりインタビュー! 近くにお店が並んでいたので、分担しながらお店を回っていったところ、インド料理のお店では待ち時間にインタビューしながらラッシーをいただき、もう一方ではおまけにもう一品追加してくれたり、、、どのキッズもお店を出てきてから話が止まりませんでした!

そして近くの公園にて、みんなで試食会!
 

「コメタン(お米の探究)」をしていることもあり、「これ、日本米じゃない!」と気づくキッズ。「どれどれ?」「細いねー!タイ米だと思う」「味はどう?」など次々に食べていきます。

ナンも種類によって全然味と食感が違うね! タイ料理って見た目以上に辛味も強い!!辛い!!!

食べたことがあった料理でも、食べ比べてみると違いがあり、実際の国の様子や食べ方を聞いてからだと味わいも変わってきます。

スクールに戻ってからは食レポ、ならぬふりかえり。それぞれの料理について感じたこと、わかったことなどを共有していきました。

やはりアジアの料理は美味しい、味の感覚が近いという意見が多くあり、遠くの地域にいくほど賛否が分かれていく傾向がありました。 中東のピザ「スイハ」やお菓子「クナファ」は食べた経験のあるキッズはいなかった料理で、こちらはまさに賛否両論。 あまり美味しくない、と言う子も「お店によっての違いもあるかもしれない」と他のお店でも試してみたいようでした。

中野の町の歩くだけでも様々な海外料理との出会いがありました。 「お腹いっぱいにならなければもっと食べれたのに」という発言が、世界の料理に触れる楽しさを味わえた証拠ではないでしょうか。 ここで、ゴールデンウィークを挟みながら、海外の料理とその歴史や背景についてそれぞれ調査し、まとめていきました。

各自がゴールデンウィークに食べてきた食べ物なども例に挙げながら、世界の料理についてそれぞれのルーツや特徴、その変遷をまとめてきました。

それぞれがスライドの使い方についても工夫を凝らしていて、色合いも豊かな資料が出来上がっていた一方で、気になったのがその情報源。 同じ「ナン」について調べてきたキッズの資料で、表記や表現が同じようなものがありました。聞くと参考にしたHPが同じであったことがわかり、まるっきりコピペしたわけではないが似た情報となってしまった点は全体で共有し、資料作成における学びにつなげました。

キーワードは「一次情報」と「二次情報」

言葉として知っているキッズはいたものの、みんなでその意味を再確認。自分の五感を使って感じ取ったり、自分が直接知り得た情報が一次情報であり、他人がまとめた資料、本や他の人から聞いた情報は二次情報となります。

それぞれの特徴を見てみると、一次情報はその本人にしか知り得ない情報、またはその本人が感じ取った情報となるので「独自性」や「唯一性」が出てくることになります。 自分はこう感じる、ということを大切にしてきたキッズはみんなが感じ方が違うということも知っており、その違いを楽しむことができる。そうした違う、ということがその人ならではの感性であり、その人にしか感じ取れない情報だったりするのです。

一方で二次情報は他の誰かがまとめた情報となります。つまりそこから得られる情報は誰もが同じものを見て受け取るので、よく言えば「均質性」が保たれるのですが、「誰にとっても同じ」ものにしかなり得ないのです。 みんながまとめていく「世界フード記」。

これをみんなにしか作れないものにしていくためにはどうしても欠かせないのが一次情報であり、それを上手く活かすための二次情報なのです。

そうしたことを踏まえながら、資料に磨きをかけていきました。 本やインターネットから得られる情報は基本的に誰かが編集したものであり、書いてある以上のことは深く知り得ないのが弱みなのですが、二次情報でも「一次情報を持っている人のお話(インタビュー)」であれば自分たちの知りたいことをどんどん聞けるという強みがあります。

今回の調査の中でキッズから「アメリカって主食という概念がないんだって」という報告があり、みんなで「主食という概念がないってどいうこと?」とハテナが浮かびました。 主食がないわけではないのか? いや、概念がないのだから、全部主食なのでは? 色々ありすぎてどれがメインって言えないだけじゃない? などなど、様々な仮説が出てきました。

その仮説を確かめるべく「原人」へインタビューすることに!

インタビューする相手はプレ初等部のスタッフ「Stacy」。 Stacyはハワイ出身なのですが、祖父や親戚がウィスコンシン州にいて、本土の様子も知っているとのこと。これはインタビューするしかない!

それぞれが聞き取りたいことをまとめつつ、インタビューはできるだけ英語で挑戦!インタビューしたいことはまとめていたはずなのに、いざ英語で話すとなると急に固まってしまうキッズ。。。 Stacyに後押ししてもらいながら、ハワイの様子やアメリカの本土との違い、食文化について少しずつ質問を重ねていきました。

 

インタビューの中から、アメリカの食文化を知るためにはアメリカという国の出来方がポイントであると見えてきました。

アメリカの土地に元々あった植物もあるのですが、ヨーロッパからの移民が多い国なので、食文化もヨーロッパから持ち込まれたものが多く、それをその土地に根付かせたものであるとのこと。

ハワイはさらにアメリカの文化とアジアの文化が融合しており、Stacyとしてはアジア料理に全く違和感はなく、むしろそれもハワイにある食文化として成り立っている様子。 とはいえ、そうした混合の文化に馴染んでいるのは若い子が多く、おじいちゃんおばあちゃんではまだまだ抵抗があるという人もいるのだとか。特に日本の生魚や納豆などの食に対しては抵抗が少しあるようでした。 その土地の環境だけでなく、そこに入ってきた人によっても食文化は変わってくるのです。日本でも「養殖」という人の手で変わってきた食文化もあります。そうした「ヒト」によって変わった、変えられてしまった食というのも、これからの調査で注意していくべき視点になりそうです。

Stacyのインタビューでアメリカについて風土やフードの様子が少しずつわかってきたキッズ。インタビューなら他にも情報が仕入れられそう!ということで、他に話題に上がっていない地域がないかと地図を見てみると、「オーストラリア」の食文化については触れていないことを発見。

Mさんが以前オーストラリアに住んでいたこともあり、少し情報を共有してくれましたが、他の視点も取り入れてみようとなり、初等部のEnglish担当スタッフのSohiとNiaにインタビューしてみることに!2度目の英語でインタビューに挑戦です。

二人が住んでいた地域でも食事の認識が違うようでした。

さらに、オーストラリア自体も移民の多い国であり、さまざまな文化が融合して今の形になっているとのこと。元々の風土に根付いた食文化ではなく、人の手が入った食文化といえそうです。

また、オーストラリアの風土は面白く、南部になると日本のように四季があり、寒い季節もあるのですが、中部には砂漠があったり、北部は熱帯に入っていたりと大陸だけあってその気候は場所によって様々。大きな国や地域なればなるほど、一概に「これ」と食文化は決まらないようです。

けれど、生魚や発酵食品に抵抗があるのはアメリカもオーストラリアも変わらないようで、日本人の食文化がいかに特異なものかが垣間見られました。「和食」という存在が文化遺産になるほど、日本として大切にしていかなければならない文化に感じられますね。

また、SohiやNiaには英語での質問の仕方を習いながら進めていき、少しずつ英語でも質問が出てきやすくなったキッズ。それぞれの国によって少しずつ特色もあり、その違いに面白さを感じてきたみんなは、さらにインタビューしてみようと乗ってきました。

そこでチャレンジしたのが、アフリカ東部に位置するウガンダの人へのインタビュー!元々「ウガリ」という食事について少し調べてきたキッズがいたのですが、みたことも聞いたこともないものを調べただけで、その実態もわからない。 クスクスでアフリカ北部には触れたが、他の多くの国の食文化はどう違うのでしょうか?ワクワクしながらインタビューに備えます。

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【ウガンダ人へオンラインインタビュー】

アフリカの食文化として、キッズから挙げられたのは「クスクス」という細かいパスタの料理。他にはなかなか情報が得られなかったのですが、今回は東アフリカで主食とされている「ウガリ(ウガンダではポショといいます)」を作って実食してみることにしました。

東アフリカで使われているトウモロコシの粉の入手ができなかったので、今回はトルティーヤ用に売られていたトウモロコシ粉で代用。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これをお湯と混ぜ合わせて、ひたすら練っていきます。  

意外とすんなりできた!と喜んでいたキッズ。早速実食してみると…笑顔が消えて「何これ。。。」とこぼす子も。(苦)

かなり素朴な味で、成分的に噛んでいても甘くなったりしない。一緒に作ったソースがなければ食べられたものではないという子がほとんどでした。

とはいえ、ウガンダではこの料理が多く食べられていて、学校給食では毎食このポショと豆のスープが出てきます。

「ウガンダにはこれしかないの?」という質問も出てきました。

強烈なインパクトがあったポショ以外にも、さまざまな主食があるのがウガンダや東アフリカの料理の特徴。そうした食事の様子をインタビューで解き明かしていきます。

今回インタビューしたのはアフリカ東部の国、ウガンダの中でも首都から250km離れたナムトゥンバという田舎町に住む、おばさんとその子ども達。スタッフのおのけんが青年海外協力隊時代にお世話になったおばさんで、実際の生活の様子などを聞きながら食文化や、好きな料理などの話も聞いていきました。

現地では、私のもと同僚(同じナムトゥンバで活動していた元隊員)が仲介してくれて、インタビューを進行していきました。

これまでのインタビューの反省点を活かしながら、ウガンダの農作物の様子や、それらがどういった気候で育ってきているのかなど、現地の人の視点で感じていることを聞いていきました。

すると、ウガンダでは乾季と雨季の2シーズンがあり、今は雨季に入ってきたあたりとのことでしたが、最近は雨季の雨量が少ないように感じられ、また時期もまちまちになってきているのでうまく育たないこともあるのだとか。

明確な原因までは探れていませんが、実際に農業を営む人にとっては肌感覚として少しずつ気候が変わってきている様子を感じ取っているのでしょうか。

ウガンダではマーケットで食材を購入することはありますが、自分たちで作ったものの割合も多くなります。すると、そうした環境の変化によって収穫量が変わると「食材がない」という問題に直面することとなってしまいますね。

また、現地の人はどんな食べものが好きなのかという質問に対しては… ウガンダでは様々な主食が食べられておりますが、どの主食が多く食べられているのかは地域によって違うとのこと。 実際に地域によって育ちやすい/育ちにくい穀物があるので、その違いが食事の違いに直結してきているようです。

日本のように輸入だけでなく、国内でも流通が盛んであると、ある地域では食べることができて、ある地域では食べることができない、という感覚は薄まってしまいますが、ウガンダではまさにその土地にあった栽培をして、消費しているようですね。

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【世界フード記のプレゼンに向けて】

テーマのアウトプットは、これまでに調査し、学んできた世界のフードと風土の関係について主食という観点からまとめていき、世界に広がる多様な食文化について伝えていくことになります。

日本で多く食べられている「お米」にも種類があり、国や地域によって食べられ方も違う。そうした「違い」が何に起因するものなのか。そうした疑問を持ちながら資料にまとめ、仮説を検証していきます。 得られた情報を「まとめる」だけでなく「読み取る」「解釈する」ところがこのアウトプットの大切なポイントになります。

 

スライドにまとめてはそれを共有し、周りからの質問やフィードバックを通じて考えをさらに深掘りしていく。そうしたサイクルを回しながら、どういった情報が相手に伝わるのか、どういった資料を提示することが効果的なのかも考えていきます。

学んできたことが多い分、伝えたいことが多くなってしまうのは仕方がないのですが、それを全部語ることはできません。

では文章で伝えたらいいのか?というとそうではなく、文章だけのスライドでは「相手に読んでもらう」だけになってしまいます。

伝えたいこと、メッセージを絞り込みながら、盛り込むべき資料を見定める、言葉にすると簡単でもそれを実際に行うことはなかなか難しいもの。 プレゼンに向けてギリギリまで「語り」と「提示する資料」を磨いていきます。

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【プレゼンテーション&ふりかえり】

今回のプレゼンテーションは「主食」ごとにチームに分かれ、それぞれのチームで ・その主食の栽培条件と当てはまる風土の対比 ・主食の歴史とその広がりの経路 ・主食となる穀物の食べられ方 ・これまでと、これからの食生活の変化 に焦点を当てながら資料をまとめていきました。 ここでも一次情報と二次情報をうまく活用しながら、自分たちの伝えたい内容をうまく組み込んでいきました。

ーーープレゼンの様子ーーー

 

 ーーープレゼン講評(G6 Mさん)ーーー

TCSでは、各クラスの講評を6年生が担当します。このクラスはMさんが語ってくれました。

これまでの学びの中で、私たちが食べている「食べ物」が今こうして食べられていることにも歴史的なルーツがあり、日本という気候だけでなく、人の交流などから様々な変貌を遂げてきたことが分かってきました。こうしたことから、食べ物を見る目が変わったという発言も頷けます。

「ふりかえり」では「改めて、このセントラルアイディアがそのままだな、と感じた」という発言がありました。 聞いてみると、最初は「風土」というものがよくわからなかったけど、学んでいくうちに「気候やその土地」が食べ物には大きく関わってくるし、人が持ち込んだものでその土地と人に合って食べられていくような変化もある、そんな気づきがあったようです。

日本は食料輸入大国ですが、その輸入先の変化(気候や情勢)があれば、影響は大きく出てきます。プレゼンの中でも触れていたように、輸入先が戦争を始めてしまうと、もちろんその影響が出てきてしまいます。

また、「風土はその土地の歴史」と語ってくれた子も。その土地がどうやってできたかだけでなく、どういったものが育てられて、それによって人や動物が暮らし始めるかなど、歴史に大きく関わってくると感じたようです。 同じお米でも、その土地によって品種が違ったり、食べ方が違ったりするのも、そうした歴史や文化によって形作られてきたものなのでしょう。

「食べ物」という切り口から風土だけでなく、その土地に住む人々の文化や歴史などもみることができた子どもたち。

また◯◯を食べたい!もっと他の地域の食べ物を食べたい!という言葉共に、そこの人たちの暮らしや文化も見てみたいという言葉もありました。 様々な海外料理が食べられる日本。もちろん海外料理だけでなく、日本の中でも地域によって様々な「郷土料理」があふれている面白い国でもあります。

子ども達には是非、これからも国内外問わずたくさんの食に触れて、自分の「世界フード記」を楽しんでいってもらえたらと思います。

KO

(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2022年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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