タイトル:東京発見伝
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:「地域には欠かせない機能とかけがえのない特徴がある。」
[3・4年生]
今週のフィールドワークは”先端的な都市機能が集まる緑豊かなエリア”をまちづくりのコンセプトとしている中野四丁目”四季の都市”からスタートです。
今回はスクールから”もみじ山通り”を南に下り、”大久保通り”を右折し西へ進みました。
「もみじ山通りを挟んで1丁目と2丁目になってるし、5丁目と6丁目に分かれるんだねー。もみじ山通りすごいね!」
「この地図を見ると、もみじ山通りって呼ばれてるのはこの辺だけで、鍋横通りとも書かれているね。」
「鍋横って鍋屋横町でしょ!行ったことある〜。」
「あ!TCSフェスタの時に来た”保健所”があるー!」
大久保通り沿いにある保健所に立寄り、館内案内図を見ながらどのような部署があるところなのかみんなで見てみます。
「飲食店の届け出って書いてあるところに行ったんだよ!」
「美容院、クリーニング店、旅館、公衆浴場の届け出だって。銭湯をやり始める時は保健所に届け出るんだね。知らなかった。」
「狂犬病の予防接種。あとインフルエンザの注射もここなんだね。」
大久保通り沿いに中野郵便局と中野病院もあるので2丁目にも様々な機能が集まっていることを改めて実感。
そして中野通りを北上し、いよいよ目的地の4丁目に到着。
「あっ!中野サンプラザだ!」
「ここってどういう建物なの?」
「コンサートとかやってるんだよ。」
「ちょっとだけ中に入っていいかな?」
中に入ってみるとコンサートホールの他には上層階がホテルになっていて最上階に展望レストランがあることが分かりました。
サンプラザの1Fに設置されている中野駅前地域のジオラマを眺めながらもう一度全体的に俯瞰して”四季の都市”を歩き始めました。
区役所の前を通しかかると囲い町広場の犬の像が目に飛び込みます。
ここで事前に囲い町について調査をしてきた男の子がこの犬の像について解説をしてくれました。
徳川五代将軍綱吉による”生類憐れみの令”で有名な犬屋敷がちょうどここ現中野四丁目を中心として広がっていた。
一体には囲いがあり”囲町”と呼ばれていた。最盛期は杉並区にかかる程の規模に10万頭の犬が保護されていたとのこと。
調査してくれた男の子の家があるのも杉並区で、なんと調べて分かったのは自分の家もかつては囲町内だったとのこと。それを聞いてみんな大盛り上がりです。
綱吉の死後犬の保護施設は撤去され、後に8代将軍が桃畑とし、江戸の人々に花見の名所として親しまれたとか。
その名前が今も桃園川や桃園町という地名として残っているとの話に”なるほど〜”という声が聞こえてきます。
そしていよいよキリンビール本社や3つの大学、警察、病院、公園な
どが集まる”四季の都市”へ。
新しい洗練された建築物が立ち並ぶこのエリアは子どもたちのお気に入りのよう。
「いいな〜、広い芝生!」
「ビルもおしゃれでなんか好きだな〜。」
「あれが明治大学、となりが帝京平成大学、それで早稲田大学はあっちかー。」
「奥にあるきれいな建物が警察大学病院だー!」
警察大学病院について事前調査していた男の子が言いました。
「この病院は戦後まで警察と軍隊の専用病院で一般の人は使えなかったんだよ。戦後から一般の人も使える病院になったんだって。なんか調べてみて分かったんだけどね、地下鉄サリン事件の時に特別チームを組んで助けに行ったり、外国にも医療チームを派遣してたりして特別な病院ぽいよ!」
「そうなんだ!それってここの土地が陸軍の施設がずっとあった場所っていうのと関係あるのかなぁ?ありそうだよね?」
公園にある看板にもこの土地が陸軍の施設があった場所で警察病院がある場所に戦時中はスパイ養成学校として秘密任務を受けた”陸軍中野学校”があったことも記されていました。
「昔はこの辺に戦車がズラリと並んでたんだろうねぇ。」と想像力を働かせる子どもたち。
「江戸時代は犬屋敷があって、戦争の時はずっと陸軍の基地になってたんだね。そして今はこのおしゃれな”四季の都市”だなんて不思議だね!」
「うん不思議〜。こういうこともプラっと遊びにきただけじゃ分かんないよね。こういうことも知れちゃう”まち歩き”を中野区でも広めたらいいのに。」
今では人知れず警察病院敷地内の片隅に石碑だけ残されている陸軍中野学校跡。
たしかにただ訪れただけでは目に入らない歴史探究の入り口がこの中野四丁目にはいくつもありました。
こうして歩いて感じたことや気づいたことをもう一度みんなで振り返ってみると、中野の変化のターニングポイントが浮かび上がってきます。
こうしたフィールドワークを通して少しずつ見えてきた中野の魅力と特徴。
そしてこれからプレゼンテーションに向けて”中野の未来ビジョン”を考え始めていきます。
すでにここをこうしたらもっとよくなるのにな、ああなればいいな、というような部分としてのアイディアは少しずつ生まれてきているようですが、まだまだ”まちづくり”についても知らないことが多すぎて全体像を持つことができません。
そこで、今回はなかなかあることではありませんが実際に中野区議会で”まちづくり”について計画を進めている市川みのる区議会議員に時間を頂き、未来のビジョンを考える上でのヒントとなるようなインタビューをする機会を頂きました。
区議会の中に入ると市川さんが笑顔で待っていて下さいました。
会議室に通して頂き、ご挨拶をすると市川議員の他に現議長の伊東議員と元議長の高橋議員もご同席して下さいました。
初めて訪問する会議室の雰囲気と議員さんとの面会にめずらしく緊張の色を隠せないTCSキッズ。
まずは4年生のKくんが緊張しながらも貴重な時間を咲いて頂いたお礼をお伝えし、TCSの学びの特徴やテーマ学習で”まち”の機能と特徴を意識して”中野まち歩き”をしてきていて、これから中野の未来ビジョンを考えていくにあたってのヒントを頂けないかと思い、”まちづくり”についてインタビューをさせて頂きたいという主旨をお話しました。
子どもたちが”まち歩き”を通して疑問に思ったことに対する考えを聴かせて下さったり、”豊かさ”つまり”便利さ”と”自然=緑”のバランスを目指してまちづくりをしていくというコンセプトの話から中野について知り尽くした方だからこそ知っているような面白いお話をたくさん伺うことができました。
「ぼくは赤坂に住んでいて、周りに高層ビルが多いんですけど中野って北口の一部に高層ビルが集まっているんですね。ぼくたちのスクールがある辺りはあまり高い建物がないんです。」
「そうですか。建物はね、実はその地区によって商業や住宅といった用途や何階建てまで建てることができるといった高さが決まっているんだよ。だからあなたたちのスクールがある辺りは地域として高層の建物が建たないところになっているんだね。君たちが”まち歩き”をした4丁目は高層ビルがあるけれど、ここに面白い話があるんだ。あそこに警察病院があったでしょう?あの病院はとてもめずらしい病院でね、屋上にヘリポートがあるんだ。もしもの時に救急車より速く搬送できるからね。それでヘリコプターの経路になるところは全て警察病院より低い建物にするようにお願いして”まちづくり”をしているんだよ。ちなみに外国からのVIPがいらっしゃったら必ず警察病院へ行くことになったいてね、下の階には防弾ガラスの病室があるんだよ。
」
「すごい!」
「映画みたい。」と子どもたち。
先日歩き回った”四季の都市”がそのような影響で”まちづくり”計画されたことを知り驚いたようです。
また他にも貴重でリアルなお話を色々と伺えることができ、これから中野の未来ビジョンを考えていくにあたって素晴らしいヒントとワクワクを頂くことができました。
また中野は「住んで良かった街ランキング」で第1位に選ばれていて、それは継続していきたいということでした。ですが、「住んでみたい街ランキング」の第1位は吉祥寺とのこと。
”住んでみたい街”というのは言い換えれば”あこがれの街”とも言えるので、多くの人たちに”あこがれられる街”をさらに目指していきたいとのことでした。
結局予定の時間を少しオーバーしてしまいましたが最後まで熱心に子どもたちに話を聞かせて下った市川議員・伊東議員・高橋議員、貴重な学びの場を作って下さいまして本当にどうもありがとうございました。
ぜひプレゼンテーションデイにも足をお運び頂ければと思っております。
TCS一同お待ちしています!よろしくお願いします。
YI
※TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。