特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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水を意識して生きる

タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「上善水の如し」

[3・4年生]

今回、このテーマ学習を進めていて個人的に興味を持ったのが、氷川神社でした。きっかけは、移転した中野に集中してあったからです。調べてみると、「氷川」は、出雲の「簸川(ひかわ)」に端を発するという説と、「大宮」という地名の元になった「氷川神社」そのものを起源とするという説と2つあることがわかりました。いずれにせよ「水」に関連する神で、特に大宮氷川は、「荒川」という名のごとく「荒れる川」を恐れつつも、田畑に水を与える生命の源を祀る神社と言われています。

ということで Google Earthを使って「氷川神社」のある場所をプロットしてみたら、下図のように、見事に荒川周辺に集中していることがわかりました。それも、近くに氷川神社があるにもかかわらずつくられているということは、集落ごとに分祀して氏神としたことが明らかです。生活するために「水」を深く意識してきた先人の歩みが浮かびあがってきました。

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「ゲリラ豪雨」という言葉が日常語になり、ありあまりすぎる「水」が天から降ってきます。しかし、都市部では、建物や道路によって地表が覆われ、行き場がない大量の水によって、あっという間に冠水し、洪水が起きます。せっかく恵みの水を得ても、地下にしみこまないので、「湧水池」や「地下水」は枯渇してゆきます。なんというアンバランスでしょう。

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「昔も、今も、水では苦労してるんだね……」

ある子がつぶやきました。昔と今……変わったこととつながり。これは探究を深める上で、大事な「視点」です。それはキーコンセプトで言えば、まさに Change と Connection。そこで、 時代によってどんな「違い Change」があり、どんな「類似 Connection」があるのか考えることにしました。

たまたま、私は、「関東の地下水脈」を地図にした新聞記事をスクラップしていました。(余談・この記事は、学びを始める前から用意していたものではありません。子どもと「探究」に没頭していると、テーマ期間中に関連記事が天から「運」ばれてくるように出現するのが常なのです)

この地図を見るとすぐに、地下水脈と現在の川の流れが大きく異なる部分があることに気づきます。ふつう、大きな川の流れと地下水脈は重なるのですが、今、大きな川が流れていないのに地下水脈が集中しているところがあります。江戸時代に荒川の洪水に苦しんだ江戸の人々を救うための大規模公共事業を行い、荒川の流れを途中で遮り、バイパスとなる川を作って、利根川へ流したのです。重機のない時代に人足だけでこの工事を成し遂げるにはさまざまな困難があったことでしょう。しかし、そのおかげで江戸は守られたのです。

「今みたいなゲリラ豪雨とは別に、昔から、江戸に流れ込む川は多かったから、水害に苦しんでいたんだね」

まさにその通り。スーパー堤防をつくるかどうか、ダムをつくるかどうかの議論が今でも盛んになされており、「治水」のために何をすべきなのか考えなければならないのは、今も昔も変わらない、江戸の、いや、東京の宿命なのです。

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では、今、私たちに何ができるのか?江戸のように川の流れを変えるか、それともとっても高い堤防をつくるか、いやいや、大きなダムをつくってそこに貯めておけばよいか、考えてみます。

都会にたくさん雨が降って困るんだから、上流のダムは関係ないから却下。スーパー堤防という発想は、流れこむ水の量を考えて、地下に広大な調整池をつくったり、今の善福寺・妙正寺川・神田川のように、深く掘り込んで、コンクリートで塗固めた、無機的な水路(川の情緒などどこにもない……)をつくるという発想に通じるものがあります。

「地面にしみこまず、ただ流れてゆく水をどうするか?」
「地面にしみこまないなら、どこかにしみこませればいい」
「ぼくたちはきれいな水使い過ぎ!トイレや、もしかしたら風呂だったら雨水でも全然いけるかも」
「だったら雨水使おう」
「雨水貯めればいいじゃん」

なんて考えが盛り上がってくるのを見透かしたように、私の家のポストに入れられたかのようなDMチラシをみんなに見せます。

「やっぱりこういうのあるんだね」

自治体によっては設置費用の半額以上も補助してくれるようです。

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雨のもたらす大量の水をいかにコントロールするかという点では、今も昔も Change していない。しかし、昔と大きく Change したのは「都市化」したことだ。この前提から発想すると、家でできる解決策も考えてみなければならない。「デング熱」騒ぎを巻き起こした蚊は水たまりから発生する。つくばいみたいなものをたくさん作って雨水をためても、蚊の大量発生を招くかも……でも、うまく雨水をタンクに貯めれば、いろいろ利点がありそう……

これまで自分の生活に関係なさそうだった「水」「雨」そしてそれらがもたらす「現象」を意識すると、もう前とは同じように世の中は見えなくなります。これが「探究マインド」というものです。

「水を意識して生きる」という「意識」の芽生えです。

RI

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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