[1・2年生]
「どうせ私の橋失敗だもん!」
ある子がへそを曲げました。新聞紙を何枚も重ねて厚くして固くすれば
うまくいくと思ったのに、その分、重みが増して、橋の真ん中がたわみ、
ストンとすべり落ちてしまいます。
「三角入れたんだけどなあ……」
確かに三角形の部品を入れることで固くなったのですが、部品を増やせば
増やすほどどんどん重みが増し、やはり橋の真ん中がたわみます。
1・2年生の子にとっての壁は、自分が好きにやったときは熱中できても、
うまくいかなくなったとき、もういい……もう無理……となってしまうところ
です。それを私はすぐに冷めてしまうという意味を込めて、探究心ならぬ
「短急心」と名づけました。
この「短急心」を乗り越えて、どうしてうまくいかないのか、原因を明らか
にして、つくりなおそうとするマインドを育むよう支援することが大事です。
そこで、ラーナープロファイルやキーコンセプトにある、「Reflective」とは
どういうことかについて話し合いました。
「わがままを言わないこと……」
冒頭に述べたへそを曲げてしまった子がつぶやきました。どうしてわがまま
を言わないことが Reflective につながるの?とさらに問うと、別の子が、
「自分のやり方だけを気にしているから」
というちょっと優等生チックな答えが出てきました。こういうときは、ちょっ
といじわるな質問を返して、先生の受けをねらうための回答ではないか?と
確認することが重要です。
「えっ、なんでそれがいけないの?自分なりのこだわりって大事じゃないか
なあ」
すると、即座に、そんなことしても橋がうまくかからなきゃどうにもならな
いじゃんという答えが。なるほど……アウトプットの質を高めることがミッシ
ョンであるという意識が明らかになります。
こうして、Reflective は、次にうまくいくように失敗の中にある成功の種を
ひろうために必要不可欠なプロセスだということをみんなで共有できました。
次の作業は、どんな「種」があるのか探ることです。
自分のつくった橋を見せながらどんな工夫をしたかみんなの前で発表し、
それを見た友達から、よいところともっとよくしたらよいところについて
アドバイスをもらいます。
このプロセスがとにかく重要です。建設的に批判する力をお互いに発揮する
ことこそ、お互いの成長を促すからです。ただほめあうのでもなく、ただけな
すのでもなく、自分のよいところもまだまだなところも、なるべく客観的に
直視することに慣れることがよい学び手になる第一歩。
「できないところこそおいしいぞ!だってそこに成長の種があるから!」
というメッセージをしっかり送ります。
上の写真は、話し合いを通じてでてきた good and better を模造紙にまとめた
ものです。みんなで意見を出し合って、磨けば、こんなに知恵が出てくる!
ということを子どもたちは実感しました。
「この知恵を活かして、新たな設計図を書くぞ!」
子どもたちはさらに燃え出します。さあ、この知恵を活かして、つくりなおし
て、成果に結びつけることができるのか……続きは次週
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