2つの「生殖細胞」が組み合わされ「受精卵」となって「親」の「コピー」
ではなく、似ているけれど違いもある個体が生まれる……この仕組み
が「変化」とその結果生じる「多様性」の源です。
「どうしたら突然変異が起こるんだろう?」
決してまったく同じものを伝えない遺伝の仕組みを理解すると、ますます
「多様な個体」が生まれるのはなぜか知りたい気持ちが高まります。
これまで学んだことをふりかえりながら、どうなると突然変異が起こるか
子どもたちと一緒に考えてみました。するとすぐに
「遺伝子が変になること!」
という意見が飛び出しました。すかさずそれってどういうことと切り返すと
「AGCTが変わっちゃたらだめだよね」
塩基の暗号ゲームをやったことを思い出しながら、なんらかの原因で
塩基の種類が1文字でも変化すれば、突然変異が起こるかも!と思い
つく子が現れます。
「DNAの長さが変わっちゃうこともあり得るよ」
余計な塩基がくっついてしまったり、逆にあるべき塩基が欠けてしまう
こともあるというわけです。
すると、ある子が
「昨日、ダウン症の人のことについてテレビでやってた」
と言い出しました。その番組の中で「染色体が47本」というふうに言って
いて、染色体の数は46本のはずなのに変だなあと思ったというのです。
早速、ダウン症について調べてみると、染色体がうまく分配されないで
できた「生殖細胞」が「受精卵」となった場合に生じることがわかり、染色体
の本数も「変異」を引き起こすことを知りました。
「でもね、その人すごいんだよ」
テレビで取り上げられたダウン症の人は
並外れた書道の才能を持っているというのです。
「じゃあ、そんな才能を持たないダウン症の人はただの病気の人なの?」
あえて子どもたちを悩ませる問いかけをしました。「遺伝」には「変異」の
可能性が含まれているからこそ「多様な個体」が生まれます。それが
「進化」につながると考えられています。しかし、「進化」を「強者の生存」
という論理で単純にとらえてしまうと、病気の人はただ淘汰されてゆく存在
となってしまいます。どんな人もみなかけがえがないという言葉は気休め
に過ぎないのか……次週は「遺伝」と「進化」とのつながりについてさらに
追究します。
RI