タイトル: ココドコ
探究領域: 時空因縁
セントラルアイディア:俯瞰と抽象化が理解を深める。
[2年生]
ズッコケシリーズの作者、那須正幹さんがつくった絵本『ぼくらの地図旅行』は本当にワクワクする本。本を読んでいると、次第にリアルな冒険に入りこんでゆく感じになるから不思議です。
「このマーク学校だよね?」
「ああ田んぼの向こうにあるよ」
絵のすぐ脇に描かれている地図と見比べると、地図と現実とのつながりがよくわかります。
「海に行くには踏切を渡って左に行くんだ!」
「うん、だからこっちに行くんだよ」
絵と地図とを頭の中でしっかりリンクさせてゆきながら子どもたちは読み進めてゆきます。
那須さんの本に出てくる地図は、国土地理院発行の2万5千分の1の地図です。
「おっちゃん、2万5千分の1ってどういう意味?」
おお、そうだよね。この数字の意味気になるよね。ざくっと言うと、実際の大きさを2万5千分の1に縮めているということなんだよ。だからこの地図だときみたちの背の高さを1mちょっとだと考えると0.04mmぐらいになる。シャーペンの芯が0.5mmだとしたらさらにそれよりも10分の1も小さい。この地図上の1cm は 実際のきょりだと250m。スクールから中野まで約750mだったでしょ。じゃあ地図でスクールから中野駅までどれぐらいの長さがあるか定規ではかってみると……3cm。250mが3つ分だから750m!ほら合ってるでしょ!
てなことを2年生相手にとりあえず語ります。小数も分数も算数で習ってはいませんし、もちろんこの説明ですべてがクリアに理解されるわけがありません。でも、細かく分けてゆくから小さくなった……どれぐらい縮めたかを表した数なんだ……ということは伝わっています。まずはそれで御の字。これからさらに地図を使いこみ、自分で略図をつくっていく中で「縮尺」を体感し、「あれ?そういうことか!」と実感する瞬間が訪れるはずです。そのための種まきです。
トリの目になってどんどん真上にあがってゆくと、モノの大きさもどんどん小さくなってゆきます。国土地理院発行の地図では「なんとなく」ではなく「正確に」どれぐらい小さくなったか数字で表されていることを子どもたちは知りました。2万5千分の1以外にも、1万分の1のものがあれば、5万分の1の地図もあるので、同じ地域について違う「縮尺」の地図を見せます。
1万分の1だと家の大きさまでわかります。5万分の1だとかなり範囲が広がり、中野区だけでなく新宿、三鷹、板橋まで入ってきます。縮め具合をどうするかで全然描かれる範囲が違ってくるのです。
今回、私たちがつくるのは国土地理院から発行されているような「正確」な地図ではありません。自分たちが発見した面白スポットに、その「地図」を読むだけで行けるような、使いやすくわかりやすい「略図」をつくるのがミッションです。
ということで、まずは、何度も歩きまわって、頭の中に大まかな地図ができ始めている、中野駅南口の「略図」を書いてみることにしました。
略図を書くには、範囲を定める必要があります。そのために役立つ「目印」を書き込むことから始めます。
何が目印になるかな?と子どもに問うと……
まずでてきたのが「建物」でした。その通り!今日の場合は、中野駅とスクール、ゼロホール、島忠といったところが目印となる「建物」ですね。次に「大きな通り」。もみじ山通り、大久保通り、中野通り、そしてスクールから中野駅までの道といった主要な通りを描きこんでゆくと、それだけでなかなかの「略図」になってきます。
さらに、中野近辺の「略図」を書く時に「目印」として欠かせないのは「中央線」。東西に一直線に走っているので、方角を知る上でとても役立ちます。
どの子もさくさくと略図を描いていきます。こりゃ驚いた。もっととまどったり、困ったりするかなと思っていたのに。やっぱり、何度も歩きまわって、頭の中にイメージができあがっているからですね。
実際に「略図」を描いてみると、気をつけないといけないポイントも自ずと見えてきます。
・太い道と細い道との違いがわかるように書く
・どんな曲がりぐあいの道かわかるように書く
・目印となるお店や看板などを書き込む
こうして最初の「略図」づくりだったのに、早くもみんなコツをつかんだ感じです。でも、今回は比較的書きやすい「南口」だったからすんなりいったのかもしれません。細かい路地がごちゃごちゃ入り組んでいる「北口」について、必要な道だけを選び、道の特徴をうまく書き込み、わかりやすい目印とともに「略図」をつくれるでしょうか?
次週は、ごちゃついたところをうまくはしょり、必要な部分を強調して、見やすい、わかりやすい、使いやすい「略図作成」に挑戦です。
RI
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