[5・6年生]
今週も子どもたちは”人生楽ありゃ苦もあるさ年表”作りに励みます。
今までの人生についてはどんどん”楽”も”苦”も出てくるのですが、40年後の未来までとなるとなかなかペンが進みません。
「週末も色々考えてみたんだけどさあ、どうしても未来の”苦”が少ないんだよ。iPadをなくしたり、自転車を盗まれるようなことは思い付いたんだけど他にどんなことがありえるのかなあ?」
「ぼくもやっぱり未来の”苦”があまり思う浮かばないんだ。おじいちゃんの死を加えてみたけど他にはなかなか思い浮かばないな。」
子どもたちが共通して”苦”についてなかなかアイディアが思い浮かばないことに苦戦しています。
それもそのはずです。まだ見ぬ未来について起きてもいない苦しいことをイメージすることは大人にとっても容易ではありません。ですがこここそが、全てが順風満帆にいくことが難しいリアルな人生を描いていくためにこの年表を作っていく上で大切な部分で、その”苦”と向き合ったり、乗り越えたりしていくことでより生きることの深い喜びや楽しみを得られていくというものです。
そこで子どもたちとディスカッションを行ない、どのような”苦”が人生で考えられるだろうか話し合ってみました。
すると、
・知人や家族の”死”
・悔しい思いをすること(怒られた、勘違いされて怒られた、なぜか自分だけ言われる、やらされるなど)
・もの(大切な)を失くす/盗まれる
・肉体的に大変だったこと(虫歯、骨折、病気など)
・精神的に大変だったこと(いじめ、友人がいなくて寂しい、努力がなかなか実らない)
・失恋、挫折、因縁(例:ひき逃げされる
・乗っていた電車が脱線するなど)といった”苦”の種類が見えてきました。
自分だけで考えてもなかなか広がらなくて苦労していたことが、みんなの知恵や知識をシェアし合い、イメージを紡ぎ合うことで何かを調べたわけでもないのに構築されていきました。
また今週は名優ジャック=レモンの遺作となった映画『モリー先生の火曜日』を見ました。スポーツジャーナリストとして有名な著者が、筋肉の萎縮する難病になった大学時代の恩師を、毎週火曜日に見舞ううちに、期せずして人生についての最終講義となった。いわば「講義録」と呼べる記録をまとめたのが、この本で、全世界でベストセラーになりました。長年会っていなかった恩師との死による別れに直面し、自分の生き方を改めて見つめ直さざるを得なくなり、どう生きてゆくべきか再考するようになってゆく流れが淡々と描かれ、深い感動へと導かれました。
今回の葬式劇で自分たちが演じる50歳ころという年代と主人公たちの年齢をちょうどダブらせながら考え、仕事に燃えれば燃えるほど忙しくなり家庭やプライベートとのバランスが取れず苦悩するところについて”自分はどうなんだろう?”と思いを巡らせ考え出すきっかけとなりました。
またモリー先生の生き様とそれを送る側の気持ちを想像し、死にいく人と見送る人における”死”の捉え方の違いについても思いを馳せながらやはりどう死ぬかではなくどう生きるかこそが大切だということを感じ、より一層年表作りに熱がこもっていった4週目となりました。
YI
※TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。