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”死”について考える

[5・6年生]

 
「今ちゃん6週間後に死ぬんでしょ?」

テーマ学習の初日に子どもたちが聞いてきました。

TCSのテーマ学習の中でも、ある意味最も子どもたちの印象に残っているテーマなだけあって今まで先輩たちがどのような学びをしてきたのかみんなよく知っています。

「プレゼンは葬式劇なんでしょ?でも劇の前はどんなことするの?なんか今ちゃんだと”死”って言われても軽いんだよな〜。」

初回から子どもたちに言われてしまいました。
たしかに私自身まだまだ”死”には遠いと思っていて、実際に自分の”死”についてじっくりと向き合ってみたことなどこのテーマの担当が決まるまでほとんどありませんでした。

そしてそのことを正直に子どもたちに伝えました。
しかし、私にもそして子どもたちにも必ず死ぬ時はやってきます。
このことだけはどうやら確実です。
誰にでもいつか必ず訪れる”死”。
それはいったいどんなものなのか?と追究しいくことできっと”死”と”生”のつながりやもっと言えば自分が生きている意味や目的について深く考えたりすることができるんじゃないかな?
と実際自分自身身が身がひきしまる思いでこのテーマに臨んでいることも合わせて話しました。

「じゃあ君たちは”死”っていう言葉からどんなことを連想する?どんなイメージが浮かぶかな?知っていることでもひらめいたことでもいいから聞かせてくれるかな?」

この問いかけから子どもたちの”今”の死に対する認識を探る旅が始まりました。
すると思いがけない話がどんどん飛び出してきました。

やはり多かったのは死んだらどうなるのか、パソコンでいうシャットダウンのように終わってしまうのか、それともまた別の人生が始まるのか?という議論です。

「ぼくは天国も地獄もないと思う。でも別のところから生まれてくるんじゃないかなと思ってるよ。」

「好きなマンガに書いてあった言葉が気に入ってるんだけど、天国も地獄も生きている内に味わうもんだ、っておれもそんな気がする。」

こういった話の他にも今の自分の悩み(?)に近い話や、揺れ動く彼らの思いがたくさんメタメタマップに書き出されていきました。
きっとこれから探究していく過程でこの初回に掘り出された今の認識や知識が変化したり深まっていくことでしょう。

子どもたちにこのテーマのセントラルアイディアが「私たちは私たちのために生きている。」であることをシェアし、どんなイメージか聞いてみると、ある子は即座に「おれはおれのために生きたい〜!」と言い出しました。
すると別の子が「それって自分だけよければいい、ってこと?」と質問します。
それに対して「いや、ていうわけじゃないんだけど自由に生きたい!ってことかな。」

そして私が「じゃあ”私は私たちのために生きている”っていうセントラルアイディアだとしたら印象違うかな?」と問いかけると、また即座に「え〜、それはやだよー!だって自分の人生だもん!」
「なんか他人のために生きます!って言っているような感じだよ。」
「じゃあ”私たちは私たちのために生きている。”がしっくりくるのかな?」と問うと無言の子どもたち。

「”私たちは私たちのために生きている”ってどういう意味で、どんな生き方なんだろうね?」と問いかけてみましたが、子どもたちは考えてみても言葉にはできない様子。
たしかにこういう生き方だ、と定義することはかなり難しい問いなのかもしれません。
しかしだからこそこのセントラルアイディアに向かって探究していく甲斐があります。

二日目は、死に直面して生きているという意味で、ある意味では右に出る方はそういないであろう職業、エンバーマー(遺体修復師)の第一人者である橋爪謙一郎さんについて著書を読み合わせて仕事内容やその思いについて学んでいきました。

そして翌週には、これまでもずっと『個の尊厳』のテーマ学習の際にお世話になって
いるその橋爪さんのオフィスを訪問し、インタビューするチャンスを頂いたことを子どもたちに告げると子どもたちの目が変わりました。
実際に他者の「死」に寄り添う仕事をしている方
にインタビューする機会に恵まれることはそうありません。
橋爪さんは、事故などで傷ついたご遺体
を修復する「エンバーマー」の資格を日本で初めて取得し、その普
及と後進の育成に当たっている方です。
子どもたちは橋爪さんの仕事について書かれいている本を読み解きながら、そこには書かれていない疑問や自分の悩みと重なり合った質問をいくつも話し合い、インタビューに備えていきました。
さあ来週はどのようなインタビューになるでしょうか?

YI

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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