[3・4年生]
3・4年生の新たなテーマは『情けは人のためならず』。
前回のテーマではフードロスについて探究し、発表会では熱い思いを語りきった子どもたち。
その熱さも覚めやらぬままの勢いで初日が始まりました。
まずはテーマ名と同じセントラルアイディア『情けは人のためならず』と黒板に書くと口々に「あっ、そのことわざ知ってる!」「ぼくも聞いたことあるよー。」と元気な声が聞こえてきます。
”情け”の意味をみんなにたずねてみると、
「情けってはずかしいって意味でしょ?」「情けないって意味だよね?」という返事が返ってきました。
そしてある子が「だからこのことわざは、恥ずかしがるのは人のためにならないって意味かな?恥ずかしがっても仕方ないってこと?」
自分のアイディアを引っ込めずにまずはどんどん出してみるのがTCSのカルチャー。いい感じのスタートです。
すると3年生の男の子がI-padの辞書で意味を調べてくれました。
「”情け”とは思いやりや人情味などの意味。”情けは人のためならず”とは、人に情けをかけるのは、その人のためになるばかりでなく、やがてはめぐりめぐって自分に返ってくる。っていう意味だって。」
「なるほどーー。なんか聞いたことある気がするな。」
それもそのはず。前回のテーマ発表でのスピーチでみんなが口々に語っていた自分の行動から少しずつでも周りを変えていく生き方をしたいという思いと重なる部分があるはずです。
前テーマでは熱い”思い”を語ることができ、そして今回のテーマでは”行動”を起こしていきます。
自分の利益の為の”利己的行動”ではなく、相手の為に働く”利他的行動”についてまずはボランティアでの実践を通して探究していきます。
2日目は早速救世軍ブース記念病院でボランティアとして綿布切り作業をさせて頂くことに。
1Fの受付で挨拶をし、7Fまでは階段で上がっていきます。
ボランティア担当の大橋さんと近隣のボランティアの方たちに自己紹介をし、作業内容を説明して頂きました。
病院で様々な用途で使用されるガーゼは1週間で70ℓ用のポリ袋満タンに必要とのこと。
山積みにされた古布を20cm×30cmの長方形にカットするのが私たちのミッションですが、布が重なっている部分やプリントや刺繍のように固いところは患者さんの身体を拭く時に痛いので丁寧に切り取る必要があります。
相手のことを考えながら、ニーズに合った仕事をできるでしょうか?
作業開始と共に黙々とハサミを走らせていきます。見本を見ながら慎重に作業を進めていく子どもたち。もちろん黙々と作業を進め、他のボランティアの方から「上手に切れてるわね。すごいじゃない。」とほめて頂き、ますますやる気になってペースが上がっていく子もいます。
しかし30分ほど経つと早くもペースダウンする子もチラホラ。
そして「手が痛いなー。」「肩が疲れてきた。」との声が聞こえてきます。
綿布の出来上がりもギザギザな切り口が目立ったり、形が不揃いだったり、切り忘れもあるようです。
初日は一生懸命頑張ったものの、仕事の質としてはイマイチ。
相手のニーズに応えているとはとても言えません。
それに疲れを口にしていては一緒に働いている人たちもなんか疲れた気分になってきてしまいますし、そんな姿勢で果たして相手のために何かをしていると言えるのでしょうか?
これらの反省点を振り返り、みんなで話し合ってから翌日は意識を改めて再度作業につきました。
見本をじっくり見ながら何度もサイズを確認し、前日よりも大分丁寧に作業を行っています。
先方の希望通りの綿布を意識することでただ布を切るのではなく緊張感が生まれ、いい集中状態を作っているようです。
「やったー!すごくきれいに切れたよ。見てー!」
「あら、本当。とっても上手ですねぇ。」とボランティアの方。
またまた褒めて頂き、得意になっているTCSキッズたち。
その後も集中し、仕事の”質”を意識して丁寧にやりきることができました。
仕事を終えた子どもたちは口々に「今日は楽しかったー!やっぱりがんばると楽しいな。」
「昨日よりきれいに布を切れたし、しかも枚数は昨日よりも多く切れたんだよ。」
と満足げな子どもたち。
相手の役に立つということはどういうことなのか意識して働くことの大切さを少しは感じたようです。
さあ来週もボランティアの日々は続きます。相手の為にとことん動くことができるでしょうか?
YI
※TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。