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変えられること、変えたいこと、変えなくてよいこと

タイトル:似て非なるもの
探究領域:自主自律

[5・6年生]

今回のテーマも中間地点を折り返し、いよいよ後半戦に突入です。

「遺伝や進化によって私たちの今があり、さらに変わることができる」

以前にもご紹介した「似て非なるもの」のセントラルアイデアです。
これまでの3週間は「遺伝や進化によって私たちの今があるという
こと」、つまり好むと好まざるとにかかわらず、引き受けなければ
いけない遺伝として受け継いだ性質について学んできました。
これからの3週間は「いかに変わることができるのか」を追究して
いくことになります。

とは言え、いきなり「私たちはどう変わればよいか」を考えようと
しても、なかなか考えが深まらないのは目に見えています。
そこで、まずはそもそも「何を変えられるのか」「何を変えたいの
か」「何を変えなくてよいのか」という観点で意見を出し合うこと
にしました。

「人為的に変えられることって何があるだろう?」

子ども達にこう問いかけると、
「カツラや植毛で毛の量を増やせるよ!」
という意見が早速飛び出します。

「視力もメガネやコンタクトレンズだけでなく、レーザー治療で回
復することができるよ。」
「整形で口や鼻や胸や目をいじるなんて、まさにそうだよね」
「臓器移植もこれに当てはまるんじゃない?」
「アスリートがドーピングで失格になったという話をよく聞くなあ。
遺伝子ドーピングというのもあるらしいよ!」
「遺伝子操作で病気の発生確率を下げるなんて時代ももうすぐかも。」

出るわ出るわで、模造紙2枚分があっという間に埋まりました。
挙がった意見を大まかに分類してみると、外見に関することが大半
を占める結果に。

じゃあ、「変えられること=変えたいことなの?」と尋ねると、
「それは違う」との返事が。

「変えたいこと」として子ども達が挙げたのは、歯並びやアトピー、
多汗症といった体質など、生活していて実際に不便だと思うことば
かり。

「本当に?整形で人生が変わるかもよ。」と考えを揺さぶってみま
したが、

「確かににそうだけど、一時の思いつきでおこなっても、いつか後
悔して元に戻したくなる時が来ると思うんだよね。」
「ある部分をいじっても、今度は別の部分が気になってという風に
中毒みたいになっちゃって、きりがなくなるじゃないかな。それは
怖いし。」
「外見なんて所詮は形にすぎないでしょ。中身が変わらないと意味
がないよ!」
「なんでも簡単に変えてしまったら、性格まで変わってしまいそう
で。努力とかしなくなるんじゃないかな。」
「やっぱり親からもらったものだしね。」
と、病気やケガの場合は別にして、基本的には人為的に外見を変え
ることに関してあまり執着がない様子。

こうした議論を通じて、自分たちが大切にしている考えや価値観が
次第に浮き彫りになってきます。

最後に、変わるためにどう行動すればよいかを考える中で、出てき
た意見としては、
・努力する 努力しないと始まらない
・目標を持つ
・ネガティブをポジティブに変換する
・まずは今の自分をうけいれる
・すぐにあきらめない
・外見が変わるだけでは自信にはつながらない。やはり中身が変わ
 らないと。
などなど。

「なんでもかんでも変えればいいってもんじゃないと思うんだ。」
「そうそう、そもそも変わらなくていいこともある。」
「さっき出た意見の今の自分を受け入れるということにもつながる
んじゃない?」
「それって、見方が変わるとも言えるね。」

具体的に何かを変えることだけでなく、別のperspectiveを持つ
ことも「変わること」であることに気づくとは素晴らしい!

模造紙にたくさん書き込まれた言葉の数々。
これらをいかに替え歌の歌詞に盛り込んでいくか。
子ども達も替え歌づくりを楽しみにしているようです。

HY

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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