「ヒロシにあって、みんなにないものは何?」
“ひとごと”として考えてきたことを、“わがこと”として考えるきっかけとなる
問いを投げかけました。
「ヒロシは班長投げ出さなかったところ……」
ある子がヒロシの粘り強さが自分にはないと指摘しました。
「でもさあ、ヒロシもやめたいって悩んだよね。どうして頑張れたんだろう?」
そのことを改めて尋ねると、
「六年生で、男の子だからじゃない」
確信に迫る答えが出てきました。
ヒロシにとっては、班長で六年生で男の子って言葉が魔法の言葉だった!
ようやく気づき始めました。
「じゃあ、きみたちにはヒロシのような魔法の言葉はある?」
「???」
「意識」しようにも「考え」がないから「意識」できない。「考え」が明確な「言葉」
になっていないから「考え」られない……じゃあ、わたしたちも、ヒロシのように、
自分の「決意」を明確に表す言葉を持った方がよい。「私の決意」を端的な言葉
に表すという課題に取り組むことにしました。
自分がどうなりたいか本気で決意するために、まず、自分の強みと弱みを自己
分析してみました。ところが、自分の弱みはたくさん思い浮かぶのに、自分は
どんなよいところがあり、どんな強みがあるのかなかなか思いつきません。
これでは、自分の強みを活かして自分の弱みを克服することはできません。
困り果てている子どもたちに、
「ヒントほしい?」
とたずねるとみな大きくうなずきます。そこで、手紙の束を見せました。
「それっ何?」
「ヒントが書かれた手紙だよ」
「あー、お父さんからの手紙だ!」
「うそー」
「いつ書いたんだろう」
「おっちゃん頼んだの?」
教室は大騒ぎになりました。
一心に、真剣に文字を追う子どもたち。一番身近で、一番子どもたちが頼りに
している人で、でもなかなか面と向かって素晴らしさを指摘してもらったことの
ない両親からの思いがけない激励の手紙。
「いつでも、どんなときでも、君のことを考え、支えているから、安心してチャレンジ
しなさい」
驚きとうれしさと戸惑いと感動と……いろいろな気持ちが入り混じっている様子が
うかがわれます。
「ヒントはもらったね。さあ、いよいよ『私の決意』をまとめるぞ!」
子どもたちを鼓舞します。口先だけでなく、いざというときに自分を支える魔法の
言葉となる「決意」をまとめることができるか……
子どもから大人に向けて!10歳の飛翔!最終週の挑戦が始まりました。
RI
※TCS2009年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。