あと残り3週間をどう活用するか確認することから今週の学びはスタート
しました。まず、宇宙SFのストーリーを書き上げ、それを紙芝居化し、2月3日の発表時に間に合わせる!それが目指すミッションです。
内容としては、①宇宙の知識を散りばめること、②これまでテーマ学習
で扱った知識を盛り込んでほしいことを、プロデューサー「おっちゃん」の
要望として伝えました。
ところが……先週までさんざん話し合い、盛り上がり、いろいろ作品を
書いて練ってきたのにもかかわらず、いざそのアイデアをうまく組み合わ
せて「ストーリー化」する段階になるとなかなか順調に進みません。
「おれは土星2号に着陸する方がいい」
「ブラックホールを抜けて別の宇宙にゆく」
アイデアを出し合い、一人ひとり勝手に想像を巡らせることと、起伏があり
なるほど!と思わせる「ストーリー」をみんなの知恵を出し合い「共創」して
ゆくこととの違いに直面したのです。
沈黙が続いたり、話し合いに疲れてボーッとする子が出てきたり、おちゃ
らけたことを言って真剣に考えなかったり……。作業が滞り、それを打破
できず、モチベーションが下がってきた「危険な兆候」が現れ始めました。
(ここはちょっとGenerateせねば…)
「このままでいいのか!せっかくいいアイデアが出てるのに……みんなを
アっ!と言わせるものを作るんじゃなかったのか!」
思わず、試合の形勢が悪くなってきたときにハッパをかけるコーチのような
発言をしてしまいました。もともとやりたくないことをいやいややらされている
わけではなく、なんとか面白い作品を創ろうと思う気持ちが根底にあるのは
分かっているので、なんとかこの困難を乗り越えてほしいと「気合」を入れる
ことにしたのです。残り時間は限られています。
子どもたちに任せて大丈夫か?
ちゃんとアウトラインを肉づけし、ストーリーを固めることができるのか?
結局、趣旨に反した子どもじみたものしかできないのではないか?
「疑念」が頭をよぎり、「ここはこういうふうにすればいいじゃない?」と助け舟
を出して、一気に作業を進めさせたいという「誘惑」にかられます。しかしそれ
では、教師のお膳立てに乗っただけになってしまう……介入はせず、子ども
の力を信じ、じっと我慢。子どもたちとともに探究する教師となるために乗り
越えなければならない大きな難関が「Generateして任せること」なのかも
しれません。
「おっちゃん、できたよ!」
アウトラインを肉付けした「ストーリー」の「初稿」がなんとかでき上がったよう
です。
「よしわかった。読み上げてみて。聞いていて疑問に思ったことをどんどん
質問するからさあ」
案の定、第1稿は、スキだらけ、抜けだらけです。しかしまさにきらっと光る
原石の輝き!大人の入れ知恵では出てこない大胆な発想が込められて
います。
(これを磨く手助けが私の役目……)
探究教師のスイッチが入ります。
「なるほど、地球に住めなくなって宇宙難民というわけだな?その発想は
いい。でも地球を飛び出してすぐに小惑星に着いたわけ?」
「どれぐらいの人数が、それもどんなタイプの人々が小惑星を目指したの?」
「小惑星に着いたときはどんな感じ?その後、どんなことが起きたの?」
矢継ぎ早に投げかける問いに対し、子どもたちは活き活きと細かい描写を
まじえて語ります。
(なんだよ、それだけクリアにイメージしてたなら、最初から書いとけよ……)
とはいえ、あれだけ自力で考え、苦しんだからこそ、頭の中にさまざまな
イメージが蓄積され、あふれんばかりになったのでしょう。だからこそ、投げ
かけた「問い」が呼び水になって噴出してきたのだ!と感じずにはいられま
せんでした。子どもたちが主体的に探究する過程を経た上で、いよいよ何か
を産み出そうとするとき、教師が「産婆」の役割を果たすということを再認識
しました。
いよいよ次週は、文章化、セリフ作り、コマ割り、絵コンテ作りです。
RI
※TCS2009年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。