“2010年は宇宙とともに幕開け!”という思いでいっぱいなのは、宇宙
ステーションの野口聡一さんか、陽月海心の子どもたちか、というぐらい
宇宙への強い関心がみなぎっているのをひしひしと感じつつ、学びは
スタートしました。さすが、クラスの名前に「太陽」と「月」を入れている
だけのことはある……妙なところで納得してしまいました。
「秒速7.9kmでボールを投げたら地面に落ちないで地球のまわりをぐる
ぐる回り続けるんだよね」
冬休みの課題図書『宇宙暮らしのススメ』で書かれていた内容について
話し始める子どもたち。
「おっ!しっかり読んでるねえ。さすがだ!それじゃあ、いよいよ『作品』を
創り始めることにしますか!」
ここまでいくつか「習作」としてショートSFを書いてきましたが、いよいよ
みんなで力を合わせて、1つの「作品」を創り出すステージへ移行します。
「まず、アウトラインを作ることから始めよう!」
そのために、どんなストーリー展開があり得るかみんなで意見を出し合い
ました。
「ちょっとまぬけな感じを入れたいな。故障したUFOが地球に不時着した
んだけど、それに地球人が勝手に乗り込んじゃって、地球人が勝手に
ボタン押したりしてたら、UFOが宇宙に飛び出しちゃって、いろいろな事件
に巻き込まれたり、星を冒険したりするっていう感じ」
「宇宙忠臣蔵ってどうかな。地球人が宇宙人にばかにされて宇宙人に
襲いかかるんだけど、すぐにつかまっちゃって、地球人が処刑されるの。
だから地球人は宇宙人に復讐に出かける」
どんどん意見が出てきます。
「ディズニーっぽいハッピーエンドは嫌だ!」
ハッピーエンドは嫌?どこかで聞いたことのあるセリフ……約1年前、卒
業した6年生と「映画」を撮影するテーマ学習を行ったときにも、シナリオ
作りの段階で子どもたちは同じ事を言いました。大人が子供向けに提示
する「ハッピーエンド」になんとなく現実離れした「嘘くささ」を感じとる微妙
な年頃に入ったということでしょうか……。
「最後は全滅するのではなく、何人か生き残る感じかな」
宇宙で冒険を続けている間に、宇宙人との闘い、宇宙船のトラブル、他の
星での探査中に出会う事故などに巻き込まれ、犠牲者が出て、苦しみや
悲しみを抱えながらなんとか切り抜けてゆく……子どもたちの話し合いに
よって、しだいにストーリー展開が見えてきました。
「これまでの議論を参考にしてそれぞれストーリーをまとめてごらん」
呼びかけるやいなや、子どもたちは書き始めます。書きたくてうずうずして
いたことが伝わってきます。書き上がると発表し、それいいねえ!それ面
白いねえ!とそれぞれのよいところをシェアします。そして、また書いてみ
る……。発表、評価、再び執筆。よいアウトラインを作り上げるために子ど
もたちはこだわります。次週は、早々にアウトラインをまとめあげ、ストーリ
ーの「肉づけ」へと進みます。
RI
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