RNAに転写された遺伝情報が解読されてタンパク質ができる仕組みを理解した子どもたち。今週は、DNAの全体がどう受け継がれてゆく
のか……つまり先祖の遺伝子を私たちはどのように受け継いでいる
のか追究を始めました。
「染色体ってDNAの糸の塊だよね」
「驚異の小宇宙『人体』~遺伝子~」のDVDの中で、染色体の写真は
何度もでてきたので、どんな形をしているか子どもたちはよく覚えていました。科学教材として市販されている「一家に一枚ヒトゲノムマップ」で染色体が何本あるか確認すると23組46本だとわかりました。蛇足ですが、このヒトゲノムマップは、1枚100円という安さで、なかなかの優れもの。1番染色体から23番染色体まで
1本ずつ染色体が図示されていて、どの染色体のどの部分にどんな遺伝子があるかわかります。
「9番染色体に血液型を決める遺伝子があるんだって」
「染色体の長さで番号を決めているんだね」
子どもたちは夢中になってヒトゲノムマップを読み取っていました。
私たちは親から「染色体」を受け継いで「遺伝」していることはわかりましたが、次に知りたいのはそのメカニズムです。最初の疑問は、
なぜ23種類の染色体がペアで46本あるのかです。染色体について
説明している資料を読むと、ヒトは父親、母親それぞれから23種類ずつ染色体をもらうので46本になるのだということがわかりました。
しかし、自分が子孫に受け継ぐとき、本来、持っている46本の染色体がどうして23本になってしまうのでしょうか。次なる疑問は、染色体を「半減」するのはどうしてか……このことを知るために、人間の生命の源となる受精卵がどう形成されるかについて調べました。
受精卵は、女性の「卵子」に男性の「精子」が結合して生じます。そのとき「卵子」も「精子」も23本しか染色体を持っていません。卵子、精子を「生殖細胞」と呼びますが、「生殖細胞」は染色体の数が23本なのです。
「2本が1本になるっていうことはまざっちゃうのかな?」
「生殖細胞」ができるときには、父親由来の染色体と母親由来の染色体
とがつぎはぎされて1本の染色体になってしまう……
「じゃあお父さんの染色体はおじいちゃんとおばあちゃんとのつぎはぎ?」
先祖の染色体がずっとつぎはぎされ続けて自分に至っているのですから
父親と母親とが合わさったものとシンプルに片づけるわけにはいかない
ことを実感しました。
「3億個もある精子の1つ1つのつぎはぎが全部違うのか……」
「卵子にたどりつけるのは3億分の1か……」
「違う精子だったら今の自分じゃないんだよね……」
なんでわざわざシャッフルして1つ1つ異なるものを作るのか?
同じものをそのまま伝えた方が楽なのに、どうして面倒で複雑な受け渡し方をするのか……
次週からは、遺伝のメカニズムについて知ったことに基づいて、「突然変異」を起こし、「進化」という「可能性」に賭けた生物の歩みについて考えてゆきます。
RI