特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

東京コミュニティスクール

03-5989-1869

school@tokyocs.org

〒164-0001

東京都中野区中野1-62-10

東京コミュニティスクール

「Dear Editor」5年生 テーマ学習 レポート1

【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】編集によって情報の価値は変わる。

<テーマ学習> レポート week 1

今年度のテーマ学習も、残り2つになりました。今回は、5年生・単学年のテーマです。このメンバーでのテーマは、2年生の「五感のグルメ」以来!すでに感慨深いものがあります(笑)

「次はDear Editorでしょ?」「なんかみんなで読んだり書いたりするやつ」

と、はやる声で予想を繰り出すこどもたち。

というわけで、今回は予想どおり「Dear Editor」。探究領域は、意思表現になります。

 

子どもたちの持っているイメージを聞いてみると、

「作文を文集にしてたよね、一冊の本にしてた」
「誰々のがよかったって、エディターズチョイスとおすすめポイント言ってた」
「楽書き大賞で 昨年S君が長い作品書いたよね。原稿用紙52枚だったんでしょ」

おぉ、さらっと言うけれど、原稿用紙52枚って何文字か知ってるの?

「え、わかんない。」「・・・・」

ということで、原稿用紙の文字数を確認してみました。

いつも当たり前に使っているのに、それぞれが認識している文字数が違う!縦20文字、横20行あることに改めて気づくキッズもいました(汗)

「原稿用紙一枚で400文字。ってことは52枚で2万800文字・・・!?」
「すごすぎる」
「でもこれって、正直多いか少ないかわからない気もする」
「だったら意外と自分も結構な文字数を書いてることになるのかなぁ」

作品と言ってしまうと”一個のモノ”に見がちですが、分解してみると”一つひとつの文字の集合体でできている”ということに目が向いた。そんなテーマのはじまりであります。

その気付きにつながってくるのが、今回のセントラルアイディア。「編集によって情報の価値は変わる。」です。

 

じゃあ、子どもたちにとって「編集」ってどんなイメージなんでしょう?

・誤字脱字を直す、どこで改行するか、送り仮名を変えたり語尾を統一したりする
・手書きをパソコンに打ってリニューアル工事をする感じ

なるほど、これはよくわかる。

・その人がつくった伝えたいことや表現を崩さず、表現の仕方をちょっと変える
・一部だけ変えて、一部だけは残ってるかんじ
・人によって違うイメージをわかりやすく同じようなイメージにする

おぉ、人によって違う印象のものを同じような印象にするのが、編集とは!これは、なかなかに面白い視点が出てきましたね。

・間違った情報を入れないようにする
・逆に、ウソの情報に書き換えることも編集じゃない?

正しい情報を伝えるためでもあるけれど、それを逆手にとって偽の情報を伝えることもできてしまう。俗にいうフェイクニュースもまさにこの類。

加えて、自分が低学年のときに同じテーマで編集を担当してくれた先輩が、怖かったこと。自分が思っているのとちょっと違ったりしたけど、せっかく編集してくれてるのに自分がいろいろ言うのは申し訳ないと思った。なんでも言っていいよと言いながら、内心「めんどくさいなぁ」と思ってるんじゃないかと思っていた。そんな話もみんなの口から出てきました。

作家(自分)が書いた作品なのに、編集してくれる人に気を遣ってしまった?それによって、自分が思っていたことと違うことが書かれてしまった?どうしてこんなことが起こってしまうんだろう?

子どもたちが先行知識を出す時点で、すでに編集の持つ多様な側面がぶわっと出てきました。このモヤモヤこそ、6週間かけて頭をぐるぐるさせていきたいタネであります。

と、ここでちょっとしたアクティビティに挑戦。

短い文をつかって、自分なりに意味の通る文章をつくってみることにしました。子どもたちに渡したのは、11個の一節。さて、これをどう組み合わせていくのか!?

   

ちょっとみにくいですが、こちらが子どもたちのつくった文章です。

 

蓋を開けてみると、七人七通りの文章が出来上がりました。どうやってこの文章をつくったか一人ひとりに聞いていくうちに、なんとも面白い気付きが生まれてきたのです!

「勇者、軍人、ボクサー、スポーツ選手、山で遭難している人など、いつの間にか自分で勝手に心の中で主人公をイメージしたうえで文章をつくっていた!」

「意味のつながる2つの文章をつなぎ、それをさらに別の文につないでいった!」

中でも最も面白かったのは、ポジティブな意味の文とネガティブな意味の文がある、という気づきでした。

だからこそ、あえてネガティブな終わり方を狙ったキッズもいれば、ポジティブとネガティブの2つの要素に分けて、2人が掛け合うような文章をつくったキッズもいました。まるでLINEの画面のように配置したところもこだわっています。

すると「あれ、上から読むとネガティブだけど、下から読むとポジティブになる文章がある!」と、一人のキッズがみんなにシェアしてくれました。

おぉぉぉ、よくそこに気がついたなぁ!と、内心びっくりしていたのは内緒(笑)だからこそ、「じゃあ、その2つの境目ってあるの?」とあえて聞いてみます。

「それはね、”しかし”っていう言葉が入っている部分じゃない?」
「これを、逆接って言うんだよ」
「おぉ、”しかし”の力って強いんだねぇ」

図らずとも、話は「ことば」の用法や用語に触れるタイミングになっていきます。これを知識として教えればそれまでですが、自分たちで手を動かし実感していくことで大きな気付きになっていく。一人の知識が伝播していくことで、全体の知識になっていくこのライブ感が、テーマ学習の醍醐味だなぁとつくづく感じる瞬間であります。

 

ちなみにこの文章は、西武百貨店の広告をお借りしました。
上下で意味が全く変わる文章を書けるコピーライター、本当にすごすぎますね。

 

意味の通る文章をつくるために自分で言葉を並び替えたということ。それはつまり、「意識的に編集をした」ということになります。ということは、編集とは意識的作業のことを言うのでしょうか。テーマ1週目最後は、その点についてもう少し考えていきます。

「陶芸の達人」クラスを受けている1・2年生の映像を鑑賞したあと、「今なにをみた?」「どんな場面をみた?」を書きとめて、シェアする時間をとりました。

すると、みたもの全部を書いた子どもは、実は誰一人としておらず。そのかわり、印象に残ったり目に留まったりする部分だけを書いていたのです。

わたしは、「今みたものを書いて」と言っただけなのに、示し合わせたように全員が「印象に残った部分」を書いたなんて!ということは、ここに何かしらの発見のタネが眠っているはず。

「全部書こうとすると長いから、一文にまとめた」
「印象に残っている場面と残っていない部分、それを取捨選択した」

なるほど、取捨選択かぁ!

「じゃあ、それを意識的に取捨選択したってことだね?」
「いや、全然」
「考えてなかった」 
「え、そうなの? ってことは無意識に取捨選択してたってこと?」
「うわ、ほんとだ!無意識だ!」
「え、脳すごくない!?」

文字を並び替えて文章をつくるときは、意識的に編集していた子どもたち。
けれど、目にしたものを誰かに伝えるときには、無意識に編集している自分たちがいることに気が付いたのです。

同じことを伝えようとしていても、どの言葉を使うかによって抽象的になったり、具体的になったりと、伝わり方が変わってくることにも気が付いていきました。

 

自分で編集していると思っていたけど、知らないうちに編集していることもある。

そうなると、編集ってなんなんだろう?
この奥深さに、ますますモヤモヤが募ってくるばかりです。
この状態は、テーマ1週目としては、好調な滑り出しですよ〜。

では、実際にどうやって編集していくのか?
2週目は、この問いに迫っていきたいと思っています。

MK

(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2021年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

Comments are closed.
アーカイブ