【探究領域】社会寄与
【セントラルアイディア】私たちはおかげさまで生きている。
<テーマ学習レポート>
テーマ学習には、学んで欲しい概念「セントラルアイディア」が設定されています。
「私たちはおかげさまで生きている。」
毎回セントラルアイデアは、子どもたちにも提示していきます。始めは意味がわからなくても、6週間後にどう捉えるか、自分でも認識の変化が理解できるよう、貼り出したり、ことあるごとに問いかけたりするようにしています。
おかげさまという言葉を聞いて、ピンとこなくても、「おたがいさま」「おまごさま」など、聞いたことのある「お」と「さま」がついた言葉は次々と出てきます。
中でも学びに繋がりそうな話題には、突き詰めてみます。
「おじいちゃん」「おじいさん」「おじいさま」どう使い分けているのか。
1年生の何人かが、
「知らないおじいさんには「じじい」っていう」と言い、2年生たちが大反論。
「それじゃ、失礼だよ。」
「相手が嫌な気持ちになる。」
「知らない人にこそ、丁寧な言葉を使わないと。」
「ぼく、ガキンチョって知らない人に言われて嫌だった。」といった話も。
1年生は遊びの延長でも、2年生だと自分の経験を語り、視点を変えるなど、捉え方の違いがはっきり分かれた場面でありました。
「おかげさま」「ありがとう」このふたつの言葉はどちらも敬語であります。
2年生の中には、丁寧語が、相手に失礼にならないように使う言葉であることや、尊敬語という言葉を知っている子もいましたが、普段あまり意識して使ってはいない模様。
そこで、どれだけ知っているのかを確かめるためではなく、どんなふうに言えばいいのか、インプットするためのアクティビティとして「敬語クイズ」を実施してみました。
3択クイズで、手をあげると3つに分かれることもあり、日本語の難しさがわかります。
自分に使う「いたします」や「参ります」の謙譲語、身内には敬語を使わないなど、いくつかの問題を通して触れていくことができました。
敬語は、尊敬や感謝の心を表したていねいな言葉であること、種類(丁寧語、尊敬語、謙譲語)があることがわかり、ちょっと難しい部分もあれば、使えそうな部分もある。使うことで、自分自身も相手から丁寧な人だと思われ、お互いに気持ちよくなる効果がある。そう感じてもらえたらありがたいです。
「みてくださる?」
「お持ちいたしました。」などなど
友達同士でも楽しみながら、どんどん試してみて欲しいです。
おかげさまを漢字で書くと「お陰様」になります。
影と陰。
似ているようで違うものであります。
光に当たってできる形が影。見えない部分が陰。
知らないうちに、見えないところで、お世話になったときに、「おかげさまで〜」と使うことができますが、その陰に気づかないと、ありがとうという気持ちも出てきません。2年生たちが、いつもやってくれて当たり前になっているけれど、ありがたみを感じているものとして、「お母さんが洗濯や掃除をしてくれる」と書いていたのも、陰に気づいている「おかげさま」のひとつです。
テーマ学習では、セントラルアイディアと一緒に掲示しているものがあります。
セントラルアイディアを到達するための戦略(Strategy of Inquiry)です。
子どもたちにとっては(スタッフにとっても)、地図であり目次のようなものでもあります。
「また、クイズやりたい」といっても、テーマの時間内では応えられません。
クイズは目的ではなく上記のことを考えていくための手段にすぎません。
この週では、身の回りのおかげさまを見つけ出すべく、「おかげさま見っけ隊」として、スクールの中、紅葉山公園の中を探索しました。
「かげ」になっているものを探すため、「紅葉山見っけ隊」のときとは違います、視点を変えなければ見つかりません。
「このドラム、卒業生のYくんが直してくれてたよ。」
「へぇー。そうなんだ。 知らなかった。 」
聞かないと見えてこないのも、おかげさまなのですね。
「このブラインド、ありがたい。だって、これがなかったら眩しすぎる。」
「これがなかったら」という考え方はとてもいい見方であります。
何気なくあるブラインドも、なぜここにあるのか、だれが置いたのか、ブラインドを考えた人ってすごいなど、視点を変えれば、数々の隠れた「おかげさま」が見えてきます。
こちら、そっと、傘を直しています。自分がおかげさまになることも。
でも、自分に「お」や「さま」はつけないので、直したよと言ってしまうと「おかげさま」にはならない?おかげさまって奥深い。
靴箱の上に、そっと筆写道ノートを学年ごとに置いてくれているのは、毎週ボランティアで来てくれているマモさん(もう数年になります!)。
置いているのを見たことはないけれど、ノートにはマモさんのコメントが書いてあるので、予想がつきます。ありがたいですね〜
これは「影」。陰との違いも深まってきます。
「水筒持ってくればよかった。」
「あ、水飲める!」
「ありがたーい。」
ありがたみを感じた瞬間でありました。
水のありがたみ。植物が生えていること、植えてあることのありがたみ。公園があるありがたみ。「おかげさま」は人だけではないようです。
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)