【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】この地には歴史が刻まれている。
<テーマ学習 レポート>
1週目の終わりにみんなでみた東京の地形図で、「西側は山が多くてボコボコしてる」「西は高くて東は低い」など、様々な発見をした子どもたち。ならば、「なぜそうなったのか?」を探るため、2週目は”大地の成り立ち”から確認してみました。
関東山地は、海底にたまった砂や泥、サンゴ礁からなる堆積岩で、長い時間をかけて隆起し、谷の浸食や崩壊が進んで現在の形になったこと。
そこから、丘陵地や台地のように、西から東にかけて段々低くなってきたこと。資料を読み込むことで、どうやら悠久にわたる自然のはたらきが関係していることがわかってきました。
しかし、本当にそれだけでしょうか?
1週目に、「東は都会だけど、それは結局人が加工していったんじゃない?」と口にしていたキッズの予想通り、現東京都心部はその昔、葦が生茂る湿地帯でした。そこに徳川家康が天下普請を行ったことで、発展の一途を辿ったことも、映像を通じて学びます。
こうして東京は、じつは”自然”と”人間”の両方のはたらきがあってこそ、今の形へと変化していったのです。
では、昔と今はどうつながっていて、どう変わっていったのか?
あるいは、変わっていないこともあるのだろうか?
今回は「地形」という部分に注目し、自分の足でまちを歩きながらその痕跡を発見して、流れの中で時間と場所のつながりを紐解いていくことにします。
ということで百聞は一見に如かず。
さっそくフィールドワークへ繰り出すことにしました!
1回目に注目したのは、東京の都心にある「山」。
地形図で西側に山があるのはわかっていますが、江戸時代の古地図をみてみると、なんと港区に自然の地形としては東京23区でもっとも標高が高い愛宕山が載っているではありませんか。まさか東京の都心部にも山があるなんて!
けれども、子どもたちは半信半疑(笑)本当にあるのか?はたまたなんでそこにあるのか?愛宕山を中心として、虎ノ門〜芝大門までを巡ってまいりました。
虎ノ門駅で降り立って、「なんでここは虎ノ門っていうんだろうね?」と子どもたちに投げかけてみると、「狛犬みたいに狛虎みたいのがいるんじゃない?」と、友志。なるほど、面白い視点!
そこでまずは現代の地図と江戸時代の古地図を見比べて、愛宕山に向けてどの出口から出るか作戦会議です。
地上で出て少し歩いていくと、なんとこんなものを発見しました!
狛犬みたいな虎も確かにいて(笑)、いきなりの歴史の痕跡に子どもたちのテンションがあがります。虎門跡みたいな文字が書いてあり、どうやらここに昔虎ノ門があったらしい?? 文字が読めないのでとりあえず写真を撮ってあとで調べることにします。
歩みを進めるために地図を確認し、ついでに古地図でも確認してみると、あれ?川が描いてある場所が今は道路になっている模様。
そのまままっすぐ進んでいくと、「金刀比羅宮」と書いてある看板を見つけました。ん?お寺?神社?よくみると・・・ビルの真下に鳥居が!
入ってみると、なんと本殿がビルに囲まれていて、スーツ姿のサラリーマンが参詣にきていたりしてびっくり!なぜこんなことに!?と気になった子どもたちは、宮司さんに聞いてみると、この神社はなんと江戸時代からあるということ、そして周りにどんどんビルが経ってしまったということがわかりました。現代のビル群の中にすっぽりと包み込まれている神社に、思わず不思議な時空の流れを感じてしまいます。
少し歩いただけで、すぐにいくつもの歴史の痕跡に出会えるとは!
愛宕山に向けてさらに先を急ぐと、ビルの間からなにか木が生い茂っているところを発見。もしかして??
建物を抜けたすぐ先がいきなり開けた場所になり、その先にはなんと「愛宕神社」の文字が! 鳥居をくぐってみると大きな階段が現れたのです。
実際に登ってみると、まぁ恐ろしいくらいに傾斜が急。
そうか、これぞまさに「山」。本当に山が東京のまちのど真ん中に残っていた!と誰もがそう思った瞬間でした。登った先にこの神社の由来が書かれており、どうやら江戸を開いた徳川家康と大きく関係のあること。
今日の最終目的地・増上寺にも「徳川家墓所」という文字があり、ここにきて点と点がつながり始めていくのも面白いところであります。
こちらは増上寺の今と昔を同じ構図で撮影してみたもの。
足下にある石垣は、もしかしたらこれは絵に描いてある石垣?
比較してみることで時代の変化が目に見えてわかり、土地のその変遷が気になるところでもあります。
MK
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)