【学年】 3年生 4年生
【探究領域】共存共生
【セントラルアイディア】私たちは水と共に生きている。
<テーマ学習レポート>
テーマ(G3・4)「Be Water」〜1・2week〜
テーマ1週目は『水』についてそれぞれの子どもが知っていることをどんどん出していってもらいました。
4年生の子から早速出てきたキーワードは”水力発電”。3年生から「それってどういう意味?」と聞かれ、「水の力で水車みたいなプロペラをまわして電気を作る発電だよ。」と自信満々に説明してくれます。
次に出てきたのが、”水害”。たしかにこの夏に災害が続き、子どもたちの記憶にも新しく連想されたようです。「たとえば洪水とか津波とか台風で水が氾濫するでしょ。西日本でも大変だったよ!しかも土砂災害にもつながっちゃうんだよ。」と4年生。複学年で学ぶことで、4年生たちから様々な知識や考え方、まとめ方を学び合えるのもテーマ学習の醍醐味です。
これ以外に挙がってきた言葉としては、
○水道水を飲むとガンになるから、家での飲み水はウォーターサーバー
○水道に道具をはめて、水をきれいにして飲んでいる
○水遊び。プールや海は楽しいけど怖い。お兄ちゃんが溺れかけたことがある
○水の循環の話
○水戦争。水を求めて争っている国があるらしい。水が欲しくて戦っているということは、オイルショックでトイレットペーパーを奪い合っていたことに似ている
○生活のために、遠くまで水を汲みに行く暮らしをしている国もある
○人も生き物たちも水がなくては生きられない
○木がないと水がなくなって砂漠化が進んじゃう etc・・・
水に関わる重要な課題の一部が子どもたちの発言からたくさん出てきたことに驚きましたが、まだこの時点では聞いたことある、見たことがある情報に過ぎません。
ここから様々な観点で”水”についてじっくりと今までの関わり方を見直し、知っているつもりだった水の入口と出口、つまりどこからやってきてどこへ行くのか、また日本と世界の水環境の違いなどについて学んでいきます。
——
2週目には、世界的にもトップクラスである我が国の上下水道について発展の流れを知るために「水道歴史館」を訪問し、江戸から現在につながる我が国の上下水道について施設案内とレクチャーをして頂きました。
まずは日本の上下水道の歴史を江戸時代から遡り、スライドと映像を使って丁寧に教えていただきました。
当たり前に使っている水道が当たり前になった軌跡を真剣な眼差しで聴いています。
「徳川家康すごい!江戸にどんどん人が増えるのを予測してきれいな水をいつでも飲めるように大水道工事をしたんだね。」と3年生は前テーマ学習「東京発見伝」とつなげて感心の様子。
江戸時代に実際に使われていた”木樋”と呼ばれる木製の水道管が展示されていました。木のつなぎ目には釘などを使わず木の皮や特殊な粘土を使っていることや町中に張り巡らされた上水とそれを汲むために設けられた共有上水井戸の工夫に心動かされながら、江戸の町に引き込まれていきます。
まずは神田上水が敷かれましたが、それだけでは十分な水が賄えなくなり玉川上水が玉川兄弟の不断の努力によって完成された物語を聞きながら、以前足を運んだ多摩川や奥多摩の様子を思い浮かべます。
「羽村の堰堤って知ってる!羽村って立川の近くでしょ!?あそこから玉川上水が始まってるんだー!」
今までの経験で認識してきた点と点がつながり合って知識がつくられていきます。やはり中学年のこの子たちとここへ来て良かったと実感します。
当時の生活を再現した展示からも、長屋での庶民の暮らしや共有上水井戸の様子を感じることができます。
「ここでお母さんたちは井戸端会議しながら洗濯したり、水を汲んでいって家の水瓶にうつしたんだね〜。」
「なんか共有の井戸が町のいろんなところにあるのも楽しそうだなー。」
「毎日ご近所さんたちと会う場所にもなるからみんな顔見知りになるんじゃない?」
確かにそう考えてみると江戸の共有上水井戸システムは豊かなコミュニティ意識を育んだに違いない、と考えさせられます。
TCSがある中野の位置を確認している子どもたち。
「中野は神田川上水も玉川上水もこんなに近くにあるんだね〜。小さな川がたくさんあるけど、上水のためにたくさん江戸時代に工事されたんだねー。今の水道は江戸時代のおかげなんじゃん!江戸すご〜い!」とキラキラ興奮の様子。
普段気にとめていない身の回りにある仕組みが理解できる喜びを子どもたちとライブで味わえるというのはなんともプライスレスな瞬間です。この興奮を子どもたちと味わえていればそう簡単には年を取らなそうな気さえします。(笑)
こちらは大正時代に使われていた共用水道。
なんと人・馬・牛・犬・猫が使えるように水飲み場が分かれていることに時代背景を感じさせられます。
ちなみにみなさんは水道の”蛇口”の語源をご存知ですか?
日本では昔から水の神様を”竜(蛇)神様”として大切にし、神社の手水にもよく竜や蛇があしらわれています。”水”の通り道という意味で”蛇口”と呼ばれているとのことでした。もちろんキッズたちは何度も竜神(蛇)様を目にしているのでこの説明でもまた大いに盛り上がっておりました。
丁寧にガイドをしてくださった水道歴史館の皆様どうもありがとうございました!
外出後はスクールでふりかえりを行います。
YI
——
(参考) TCSテーマ学習については、以下よりご覧ください。
2018年度プログラム_基本形 ・ テーマ学習一覧表_実施版