特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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報告資料を作ろう!

[5・6年生]

「残り2日で自己ベストを更新できるかな。。」

本来であれば、今週はまるまる発表用資料作成にあてるはずだったのですが、
実践フェーズを延長することにした私たち。

極めて限られた時間で結果を出さなければいけないこともあり、子ども達の表情も
より一層真剣味を帯びてきました。
何とか結果を出したい。結果への執着が感じられます。

「トレーニングで意識した『ポン』『ピュン』をいきなり全速力で実践するのは
 難しいから、ゆっくりのペースで2つの動作を確認しながら、徐々にペースを
 速くしていけばいいと思うよ!」

今回のテーマで最もreflectiveに自分の走りを分析し、仮説と検証のサイクルを
主体的に回すことで「ポン・ピュン・ラン」のコツをつかみつつあった5年生の
女の子からの提言がありました。

「よし、それいただきっ!」

彼女の意見を参考にし、それに加え、みな各自の弱点にフォーカスしたトレーニングに
励みます。

また、先週の実践では、後半になるにつれ、疲れが如実に表れ、みるみる記録が
落ちていた点も考慮し、1セット=3本のランを1セット=2本に変更し、セット数を
増やすなど、測定方法についても修正を図ります。

「これ、タイム出るんじゃない?」

この日の一走目を見て、子ども達の走りが非常に軽やかなのを感じました。
特に女の子は、走り方がスムーズになってきているのが目に見えてわかります。

そんな中、ついに待ちに待った瞬間が。

「文さん、やったよ!自己ベスト、更新!!!」

トレーニング方法の提言をしてくれた5年生の女の子が駆け寄ってきます。
他の子ども達からも湧きあがる歓声。

小4の記録会の時以来、なかなか更新することのできなかった自己記録を更新し、
興奮さめやらぬ様子です。

クラスメイトもそれに触発されてか、好記録を連発します。
結果的に女の子全員が実践フェーズの残り2日で自己ベストを更新することが
できました。
「研究者」として、簡単に諦めずに執着した結果と言えるでしょう。

さて、発表会まで残りわずか。
いつまでも実践フェーズの結果の余韻に浸っている場合ではありません。
発表会に向けた報告資料を急いで作成しないといけないのです。

ただ、6年生の子どもたちは前回の「駄菓子屋経営」の事業報告会にて
パワーポイントを使った発表を経験しているので少し自信が伺えました。

私自身、ITツールを使用する際に注意していることがあります。
それは、例えばパワーポイントであれば、アニメーションや絵図に工夫を凝らし、
見た目の体裁だけを整えて、なんとなくまとまったように見せることが可能だと
いう点です。

「重要なのは中身やぞ!」
この言葉を何度も子ども達に発しました。
小手先の技術など後からいくらでも身に付けられます。
聞き手に一番伝えたいメッセージは何なのかが明確でない発表など誰の耳にも
届かないからです。

今回は、科学者が学会で発表するスタイルでいくということは当初から伝えて
いました。学びのテーマ領域は「万象究理」。

正確なデータに基づき、合理的に推論を立てること。
追究、目的、方法、結果と今後の展望を理路整然と説明すること。

加えて、パワーポイントでまとめる際の鉄則である「Oneシート、Oneメッセージ」
など、発表内容をまとめるにあたっての前提事項を確認したうえで、発表の
アウトラインを子ども達とつめていきます。

今回の学びの「目的」となるミッションを知らせることが第一。
次に、このミッションを達成するために追究した「課題」は?それをどう調べた?
理論的な裏づけは?その理論にしたがってどんな実践をした?
その結果、どんなことがわかった?今後の展望は?というように、
子どもたちとやりとりをしながら、これまで行ってきたことを整理しました。

「作用・反作用の法則や『ポン・ピュン・ラン』の理論を説明する際には、
 言葉だけじゃなくて、誰か前に出て実演した方がいいんじゃない?」
「結果がまぐれと言われないために、どんな情報が必要だろう。」
「僕はまだ結果が出てないから、その点を分析しておかないと。。」

担当範囲をグループごとに分け、スライドを作成する実作業に取り組む中で、
子ども達から聞き手にとってわかりやすい資料づくりのアイデアがポンポンと
出てきます。

グループごとに作成した資料をマージし、最後に分析のスライドに取りかかります。
自分達で撮影した動画をコマ送り再生して静止画にしたものをパワーポイントの
スライド上に並べ、連続した動きを見せました。スライドの上半分にメカニズムを
意識する前のランニングフォーム、下半分に自己記録を更新した時のフォームの
連続写真を示し、上下を見比べて、身体の使い方がどう違うか、分析できるようにしました。

「全然違うよね。私の場合、以前はかかとからべたっと着地しているし、
 これならブレーキがかかって遅くなるのも当然だよ。」
「私も。ひざが進行方向に伸びていて、ダイナミックなフォームになってるもん。」
「足裏全体でポンできているし、背筋が伸びているから反作用の力が逃げてないんだよね。」

改めてテーマ学習を始めた当初と今の自分のフォームをじっくりと見比べる中で、
その違いを自分の言葉で説明できるようになっていたことに気付きました。
これこそが、この学びを通じての彼ら彼女らの成長なのです。

発表資料が完成したのは、発表会前日の昼過ぎ。

「何とか間に合った。。」

私自身、発表会に間に合わないのではないかと思うくらい、後半はタイトな
スケジュールでした。
が、そこは過去に何度も同じような試練を潜り抜けてきた上級生。最後に
信じられないくらいの集中力と粘りを発揮してくれました。

「よし、明日も頑張ろう!」

子ども達はテーマ発表へと臨みました。

YI/HY

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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