特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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「子どもをなめてはいけない」~小冊子完成~

[5年生]

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3月11日の大地震の際には、とても大きな揺れを感じたものの
スクールに特に被害はなく、子どもたちもみな無事でした。甚大な
被害のあった地域のことを考えると胸が痛みます。今、スクールで
いつもと変わりなく学んでいることがどれほど幸せなことなのか
改めて痛感します。私たちがすべきことは、できるだけ被災地の
方々に負担をかけないように、あわてて買いだめをしたりせず、
節電を心がけ、少しの不便は我慢するということでしょう。風評に
惑わされたり、いたずらに怖がったりすることなく、今すべき学び
に励むことではないかと子どもたちに語り、編集作業に入りました。

つかみのページ、4コマ漫画、テーマ学習についての説明、テーマ
学習の一例という構成で、着々と記事ができあがっていきます。

「字が見にくいな」
「これだと意味が通らないかも」
「まだタイトルの字が小さいな」
「鉛筆の消し忘れがある」
「字の太さはどのくらいがいいかな?」

書くべき文章をしっかり「推敲」し、最終確定し、いよいよ清書の
段階に入りました。完成が見えてきたにもかかわらず、最後まで
決まらないページがありました。それは「表紙」でした。「タイトル」
と「背景」のデザインが決まらないのです。

以前、どんなタイトルにするかをみんなで考えたとき、全員一致で
選ばれたのが「子どもをなめてはいけない」でした。順当ならば
それで決まりなのですが、異議を申し立てる子がでてきました。
あまりに過激すぎて、かえって反発を招いて賛同者を得られない
のではないかというのです。

「TCSへ行ってみよう!の方がいいんじゃないかな……」

という対案が出され、緊急編集会議を開くことになりました。
“TCSの子どもらしさは、本音の殿堂!ってところにあるんだから
いいんじゃないかな”という考えと、“もっと柔らかく言いたいことを
伝える言葉があるんじゃないかな”という考えを比較して検討
しました。

「目を引かないと小冊子のページをめくってもらえないよね」
「でも、ただ強い言葉だけだと手にとってもらうことすらないかも」

議論は少し堂々巡りになってきました。そこで、

「なぜ『子どもをなめてはいけない』というタイトルにみなが共感した
んだろう?」

というところに戻って考えてみたらどうかと提案しました。すると、
ある子が、テーマ学習は、子どもたち自身が生み出した「発想」を
大事にしていて、単に「楽しい」ことだけを体験するわけではないと
発言しました。

追究の過程では、すぐに解決できず、乗り越えなければならない壁
にぶつかるから結構「厳しい」。
それは……
「さあ、覚えましょうね」
「これから教えることをよく聞いてね」
という「子ども扱い」された学びとはまったく異なる。そんな学びの
特徴が現れたタイトルがいいという意見も出ました。

「何年生だからこのぐらいかな」
「子どもなのにこんな難しいことやって偉いね」
「子どもだからまだ無理でしょ」
というのは大人の先入観に過ぎない。
子どもと先生とが一緒になって、現実社会に存在する問題に挑戦する
アグレッシヴさがTCSのテーマ学習なのだ!という子どもたちの強い
思いが議論を通じて明らかになりました。

話し合いの末に、結局、「子どもをなめてはいけない」というタイトルは、
自分たちが伝えたいメッセージを伝えているのだから、自信を持って
「攻撃的」でいこう!ということで意見がまとまりました。

タイトルが決まり、あとはそのタイトルに合った表紙の写真です。やはり、
なめるなよ!と顔をしている子どもの顔がいい!ということになり、TCS
の屋上で撮影。ついに全部のページが出来上がりました。

子どもたちは、最初のゲラ刷りを手にすると、ここまで必死に頑張った!
という思いがあふれてきたのでしょう。思わずみんな「拍手」して祝い合い
ました。

期せずして起こった「拍手」に象徴されるように、今回の学びでは、
まさにコラボレーションと呼ぶにふさわしいやり方で仕事を成し遂げました。

これまでは、どうしても……
誰かに仕事を任せたら、相手の仕事には関心なし。
自分の仕事を他者にとやかく言われるのは嫌で、自分のしたいように
しかやらない。
ちょっと自分の仕事の質に「ケチ」が入ると途端にやる気をなくしてしまう。
バラバラで、人に仕事を押しつけたがるときが見られました。

しかし……
今回は全くというほどそんなことはありませんでした。むしろ、お互いの
得意分野を活かしつつ、分業しながらも、それぞれの仕事に関心を持ち、
より質の高いアウトプットを創り出すためにお互いに建設的なアドバイス
し合ったのです。

さあ、これで発表会で披露する「小冊子」はできました。この「小冊子」に
どんな反応がくるか……ワクワク、ドキドキです。

RI

TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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