【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】
自分視点と俯瞰の往来が理解と判断を助ける。
<テーマ学習> 〜レポート
【先行知識の確認】
まずは子どもたちが「地図」というものに今までどのように触れ、どのような認識や知識を持っているのかを確認していきます。
今の時代、デジタル化が進む中、なかなか「地図」に触れることのない子どもたちです。初めて地図のことを考えたキッズや多少は目にしたことのあるキッズ、そして知っていることをみんなに説明してくれるキッズなど様々な先行知識を確認することができました。
その中でもテーマパークなどの案内板も地図だと思うという意見が出ていました。その案内板には「迷わないためにいろんなことが書いてある!だから地図とおんなじだ。」「地図って迷わないためにあるんだよね!」と子どもたちの地図に対する理解が見えてきました。
その地図を迷わないように活用していけるように、これからスキルを磨いていきましょう!
【探究の流れとセントラルアイディア】
知らない言葉がたくさん!でも知っている言葉から探っていくことでセントラルアイディアの意味が少しずつ見えてきます。
オーライオーライ!!
初期知識 地図
【地図の確認と探索の事前準備】
他県の地図を家から持ってきてくれて語ってくれました。
【地図情報の意味(Function)】
地図には様々な情報が書かれています。
そもそも誰がどうやって地図を書いて作っているのでしょうか?
そんな疑問を抱えながら子どもたちは地図を見ていきました。「誰かが空から見て書いたんじゃないかな?「でもどうやって空に行くんだろう?」「宇宙からGPSで見てるんじゃない?」など、子どもたちの想像力が発揮されていました。空からの視点。まさにセントラルアイディアに関係する大切な発言です。
地図は私たちにとってどのようなものなのか、少しずつ身近に感じられていきます。
*空間(位置・方向・距離)の捉え方(Perspective)
まずは中野の街に出て「自分視点」で探検していきます。
探検で見たものや感じたものをふりかえっていき、いつもとは違う視点で得た情報をシェアします。
道の曲がったところや見えていなかった建物。そして自分の居る現在地を地図上で確認していきます。歩いてきた軌跡を頭で追いながらスタート地点のスクールの方向も感じてみました。
【現在地の把握】
自分のいる現在地の場所を地図で確認したり、どちらが北でどちらが東?と現在地や地図で見た方角を随時確認していき、空間と位置をリンクさせていきます。
まさに、自身の視点と感覚を、学びのアンテナと共にどう使っていくかが試されます。
【事前計画】
探検に行く前のルート確認と各自の役割チェック。
時間担当、リーダー2人、そしてみんなで協力して目的を果たすための結束と事前準備も大切な学び。
自分たちの歩いてきた軌跡を見て、「全然地図の下の方を確認できていない」とまだまだ迷ってしまった時にどちらに向かって良いのか方角と方向がわからずに同じ位置に戻ってきてしまっていますね。
位置情報も距離や時間もまだまだです。
【探索から街の情報収集】
探索レベルも少しずつあげってきている中、今度は情報収集のミッションです。
中野の街の建物には、どんなものがあってなぜそこにあるのかを探っていきます。
そのためには人に聞いたり自分の目で確認したりとリサーチスキルが試されます。
中野のシンボルを発見したようです。
この建造物の特徴や機能を確認しています。どうやらなくなってしまうようですね。
もちろん全ての建物に情報があるわけではありません。
時には人から情報も収集しなければなりません。どこまで詳しくリサーチできるかお手並み拝見!
地図と同じような案内板も目に留まるようになってそこから情報を仕入れることも学びましたね!
【情報収集】
建物から出てくる人に「この建物は何ですか?」と積極的に聞きにいく隊員たち。
地図には地図記号しか載っていないので詳しく情報を収集しなければなりません。そこから始めてその地図記号の意味を発見するところにつながっていきます。
中野北西部を2時間以上歩いて、足で稼いだ情報を手に入れることができました。
中野の街に詳しくなってきました。
地図の見方も徐々に理解できてきて、自身の空間認識スキルも磨かれてきています!
事前のルート確認の重要性
何度か探索を重ねていく中で出発前のルート確認の重要性にも気づいたキッズたち。
誰が先頭を歩いてどのような道を選んで進んでいくのかを話し合い、時間制限の中、探索を完了することを目指していきます。
道に迷った時がHarmonyの発揮しどころ。各担当が他者の意見とともに進むべき方向を判断していきます。
進むべき方向も「南西に行ってみよう!」「南西ってどっちだっけ?」と方角も確認しながら意見を交わしています。
途中の発見もみんなでシェアしあった場所を地図に記録して残しておきます。
道の形状や周囲のランドマーク、そして地図上の建物の形や名称から自分視点を信じて進んでいきます。
面白いものや珍しいものに対するアンテナが大切なポイント
進んでは確認。また進んでは現在位置の確認。と何度も自分視点と俯瞰の往来を重ね、現在地がどこなのか、進むべきルートからずれていないかをチェックしています。
中野の街にある公的機関も見逃しません。
ただ、建物の情報がないので、ここはみんなの知恵が必要になってきます。
探索も積み重ねていくと建物には、その建造物の紹介のマップがあることを学んだキッズたち。地図と同じ形や形状を照らし合わせて情報を収集しています。
街の中の発見!
街歩きも様になってきたキッズたち。
ここからはいかに地図上にある面白な場所や珍しいもの、そしてアンテナに反応した紹介したい場所を見つけられるかです。
ムシの目、トリの目も使いこなし始めたところで、じっくりと観察していきます。今まで見えていなかったものがアンテナに反応するようになり、街歩きも楽しくなってきましたね。
後ろに見えている煙突も「なんで短いんだろう?でも面白い!」と見つけた人で記念撮影。
反対側から建物の隙間を見て発見したのはナイス。
中野の高層ビルも目の前の建物の隙間から見つけられるようになり方角も判断できるようになってきました。
「このお風呂に後で入りにくる!」とココを紹介したいキッズは気合が入っていました。
戻ってきてふりかえりと発見したポイントの再確認。
さぁ探究も最終局面へ。いよいよ大詰め。
探索してきた中野の街を大きな地図に描いていきます。
中野の街の特徴も見えてきて方角や建物の大きさ、そしてスクールや中野駅からのポイントまでのルートなどなど。記憶を頼りにどこまで描けるか勝負です。
地図による表現(Connection)
自分たちが歩いて探索してきた中野の街。街の特徴が見えてきました。
「北西部には大きな高いビルがいっぱいあるね。」
「南西部は家ばっかりだよね。」
「北東部は家がいっぱいあるけど道が狭くて迷いそう。」
と街の特徴をシェアして、その特徴を地図に表現していきます。
地図に何を書くかはみんなで話し合い決定していきます。方角を示す文字を入れたり、地図上にある地図記号も調べてきてくれたキッズがその記号の意味を伝えて、中野の街にある地図記号も書いていきます。
地図に表現していく上で大切なことは、見た人が見やすくてわかりやすいこと。そして正確であることが求められます。ただ線を引くのではなく定規を使ったり丸を書くのも綺麗に書かなければなりません。
下書きから苦労して書いていました。
地図の特徴はわかっているけど、書き始めでは線路と中野通りもうまく書けなくて相当時間がかかってしまいました。
正確に書けなかったところはもちろん書き直し。良いものを発表しようと手を抜かないところは素晴らしいですね!
(TCSが電車の車庫の中へ?!)
いざプレゼンになっても一人ひとりのスピーチに緊張感が漂っています。久しぶりのプレゼン。そして2年生になって初めてのプレゼンということもあってかなり緊張していました。
聞いた人が説明を聞いて地図からイメージしていけるようなスピーチはなかなか難しいですが、間違えてもOK!
伝えたい気持ちを込めて発表しようと覚悟を決めたようです。
<プレゼンテーションとテーマ学習ふりかえり>
ふりかえりではほとんどのキッズが「思ったより声が小さかった。」と自身の発表動画を見て発言していました。
プレゼンでの目標でもあった「みんなに楽しく伝える!行きたくなったり見たくなったりするように話す力を発揮しよう!」が今回はできませんでした。
でも直のプレゼンでは、「もっと大きな声を出せるようにする!」「意識して声を大きくする!」と次回に向けて意欲を示していました。
完成した「みんなのたのしい中野マップ」
探究後記
今回の「ココドコ」は時空因縁の探究領域。
自分視点で周囲を見渡し、見たものから情報を収集し、地図から俯瞰視点で自分の現在地を探していく。
何度も何度も「ココドコ?」と探索の途中で自身の現在地と向かうべき方向と方角を考えることは、体全てを使ったトレーニングのようなもの。回を重ねるごとに子どもたちのスキルが磨かれていることが感じられる、そんなテーマ学習でした。
2年生になって中野の街に繰り出し、歩くことはめちゃくちゃ楽しい。でもいくべき目的地に着けるかは不安がある。
でもみんなで協力すればなんとかなることも学びました。
歩いてきた軌跡やこれから向かうべき見えない先の道までアンテナを張り巡らせて考えることは、きっとこれからの登山や街歩きに役立つことでしょう。
確実に子どもたちの視点には変化が起きています。
これからも探究し続けていってほしいですね。
HM
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2024年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)