【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】見れば見るほど見えてくる。
<テーマ学習> 〜レポート
<Week 1〜2>
今回のテーマの探究領域は「万象究理」。「森羅万象の性質・法則から私たちは何を学び取るか?」を、私たちの身近にある植物、特に「葉っぱ」に注目し、観察を重ねることで探究していきます。
初回のクラスでは、植物や葉っぱについてどんなことを知っているか、既に持っている先行知識を引き出すために 知っていることをどんどん語ってもらいました。
知っている木や植物の名前が出てきたり、私たちが食べる「野菜やフルーツは木や植物につくよ。」「焼肉のサンチュは植物の葉っぱじゃないかな?」など、まずは身近な食べ物から連想して話題が広がりました。
また、「虫を食べる”食中植物”っていうのを知っているよ。」「植物は生き物だから、DNAを持っているよ。」「光合成をしている。」など、よく知っているなと驚くような知識をシェアしてくれる子もいました。
そして、Inquiry Keysの ”Form” に沿って、「葉っぱ」にはどのような性質や構造があるかを聞き出していくと、たくさんの意見が出てきました。
さらに、今持っている植物のイメージ:どんなパーツがあって、どんな構造をしているのかについて、木と葉っぱの絵を描いて表してもらいました。
次回からは 実物の葉っぱを観察しながらもっと詳しく”Form”を見ていきます。どんな新しいことを発見できるか、これからの6週間が楽しみです!
2回目以降は、「葉んてぃんぐ」のルールを確認して、さっそく葉っぱを探しに紅葉山公園へ!
「紅葉山みっけ隊」で何回も探検してきた馴染みのある場所ですが、今回は植物に視点を向けてみると、「ここにも違う葉っぱがあるよ!」「この葉っぱはトゲトゲだよ!」など、色々な種類の葉っぱを探すことができました。
毎回お気に入りの葉っぱを選び、各種2枚ずつ採集します。1枚は観察用に、もう1枚は押し葉にするためです。
次の日にも観察したい場合は、葉っぱBOXに入れて保管。
2回目の「葉んてぃんぐ」では、木の看板を発見!見つけた葉っぱの木の名前も知りたくなってきます。
スクールに帰ってから、さらに細かいところまでじっくり観察するために、ハンディー顕微鏡を使って観察もしてみると、「細かい毛がいっぱい生えてるー!」「ちっちゃい虫がいる!」「こんなところに穴が空いているよ」など、肉眼では見えなかったところまで見えるようになり、新発見を次々とすることができました。
どんな匂いがするかな?「バナナみたいな匂いがするよ!」「僕のはシナモン!」
目で色や形を見るだけではなく、匂いを嗅いでみたり、触って感触を調べたり、五感を使って観察していくと、1枚の葉っぱからたくさんのことが分かってくる。まさに「見れば見るほど見えてくる。」です!(子ども達の表情がどんどん輝いていきます!)
発見したことや特徴を記録シートに書いていきます。そして、自分が採集した葉っぱの「お気に入りポイント」や観察から発見したことについてプチプレゼンにも挑戦してみました。
<アート>
今回のテーマでは アートのクラスともコラボして、葉っぱを細かいところまで観察し「見れば見るほど見えてくる。」をさらに深掘りしていきます。
第1回目のアートでは、「フロッタージュ」という技法を学びました。
表面が凸凹のものの上に紙をのせて 鉛筆でこするように描くと、凹凸の模様を写し取ることができます。
まずはコインや鍵、段ボール、カゴなど、凹凸のはっきりした硬いもので挑戦してみました。
やっているうちに、みんな鉛筆を斜めに軽く持って筆圧を調節しながら擦るコツを掴んでいき、しっかりと凹凸の模様を写せるようになってきました!
我々の予想以上に早く上手くできるようになったため、柔らかくてより難易度の高い「葉っぱ」でも挑戦してみることにしました。
ちゃんと葉脈や葉縁の形が浮き出ています!ほーりーもみんなの器用さに感心!
今後は観察シートの記録にフロッタージュも使っていきます。
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<Week 3〜4>
引き続き、「葉んてぃんぐ」を重ねて色々な種類の葉っぱを収集します。毎回違う種類の葉っぱを見つけることができるかな?
まっつんが見つけたこの木は「サルスベリ」。ピンクの花が咲いていて、樹皮がツルツルなのが特徴です。
「木登りが得意な猿でさえも滑ってしまうほどツルツル」ということからついた名前だということが分かり、他にもどんな木の名前があるのか気になります。
前回見つけた看板でも興味が湧いていた「木の名前」を、葉っぱの図鑑を使って特定してみることになりました。
分裂葉か不分裂葉か、互生か対生か、鋸歯があるかないかなど、チャートに従って見ていくと、候補を絞ることができます。樹皮や花などの特徴もチェックして、多くの種類を特定することができました!
スクールに帰って、判明した名前も含めて 特徴や分かったことを観察シートに記入します。フロッタージュもお手のもの!
今回の「葉んてぃんぐ」では、頑張ってひとり5種類ずつ採集してきました。全部で何種類見つけることができたかな?算数の学びにもなります!
そして、押し葉にしていた葉っぱもファイルに出して、これまでに集めた葉っぱを机に並べてみました。
葉っぱの特徴を挙げていくと、こんなにたくさん!
その中から、葉っぱマップの2つの軸の案として 反対の意味になる特徴をいくつか探してみました。さて、どんな軸でマップを作ろうかな?
<アート>
2回目のアートでは、スケッチに挑戦しました。スケッチするには、葉っぱの形、色、鋸歯、葉脈、模様、虫食いの痕など、よ〜く見て描かなければいけません。
この真剣な眼差し、いいですね!
2回目のスケッチのクラスが終わった後、アート担当スタッフが興奮しながら「1回目から格段に良くなったよ!細かいところまでよく描けるようになって、「見れば見るほど見えてくる。」を実践できてきているね!」と報告に来てくれるほど進化しました。
本当に良く特徴を捉えて、葉っぱの輪郭の特徴、鋸歯、葉脈など、細部まで描くことができており、スケッチを見ただけで誰のどの葉っぱか分かりました!
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<Week5〜6>
最後の「葉んてぃんぐ」では、紅葉山公園の葉っぱを全種類を探すぞ!という意気込みで、まだ見つけられていない葉っぱがないか くまなく探しました。
観察もポイントが分かってきて、自分たちでハンディ顕微鏡を使ったり、図鑑で調べたりしながら進められています。
そして、いよいよ葉っぱのマップ作りを本格的に始めます!
まず押し葉にした葉っぱをラミネートして縁を整える作業ですが、ハサミの使い方も上手にできました。
そして、「葉身が大きい⇄小さい」「葉身の幅が太い⇄細い」「葉縁がギザギザ⇄ツルツル」など、ふたつの軸の案に出たものの中で色々試してみて、しっくりくるものを探していきます。
ひとつの軸を「葉脈の数の多い⇄少ない」にしようという案が出て、みんなで「中央脈」から出る「側脈」の数を数えることに。
側脈からさらに分岐する「細脈」は数えないように、慎重にカウントしていきます。葉脈は電気に透かして見ると見えやすいので、寝っ転がって数えるなど工夫をすることもできました。笑
…103, 104, 105… と何やら数えています。大きな数の学びにもなりますね!
さらに、葉身の幅や鋸歯の深さを定規を使って測ってみたりと、算数の要素も多く取り入れながら、楽しく並び替えていきます。
並べては鳥瞰で全体をチェックしてを繰り返しながら 何通りか軸の案を試した後、縦軸を「葉脈(側脈)の数」、横軸を「鋸歯の深さ」でマップを作ることに決めました。
一見鋸歯の無い全縁に見えても、ハンディ顕微鏡で見てみると「細かいギザギザがある!」と小さな鋸歯があることを発見し、1枚1枚チェックしながら並べていきます。
軸に当てはめて葉っぱを並べてみると、「この辺りは小さい葉っぱが集まっているね。」「ここは分裂葉がいっぱいだよ。」「こっちは丸くて幅が広くてカメの甲羅みたい!」と、似た葉っぱが集まっているのが見えてきました。
グループ名のアイディアを出し、みんなが納得できるまで意見を出し合って、11のグループに分類することができました!
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<おまけ:光合成の実験>
「静かなともだち」というテーマ名だけど、葉っぱは本当に「ともだち」なの?人間みたいに生きているのかな?
人間が生きている証拠には、筋肉が動いたり、心臓の音が聞こえたり、体温が温かかったり、息をしていたりすることが挙げられ、簡単に証拠を確認できます。
木は時間が経つと大きくなったり、季節が変わると葉っぱが生えたり落ちたり、色が変わったりするのを見ることはできるけど、人間と違って確認しやすい証拠がないので分かりづらいです。
そこで、今回は「木(葉っぱ)もきっと息をしているんじゃない?」と仮説を立て、息をしている証拠を見るために、ふたつの実験をしてみることにしました。
ひとつ目は、TCSのレモンの木から葉っぱを採取。
地面に落ちていた茶色の葉っぱも一緒に水の中に入れ、お日様が当たる場所に1時間程置いておきます。
ふたつ目は、太陽のよく当たっている葉っぱに直接ビニール袋を被せて、こちらも1時間程放置。
私たちが水の中で息を吐くと、あぶくが出ます。葉っぱも息をしていれば、あぶくが出るはず。
人間がビニール袋に息を数回入れると、呼気の中の水蒸気が袋に付いて袋が白くなったり水滴がついたりします。葉っぱも息をしていれば、同じようになるはず。
それぞれどうなるか予想を立てて、、、
1時間後に結果を確認しにいくと…
被せた袋は真っ白!内側にたくさん水滴が付いていました。
そして、水の中に入れた葉っぱもあぶくがたくさん付いています。茶色の葉っぱにはあぶくが付いていなかったので、緑の葉っぱはやっぱり生きていて、息をしているということが分かりました!
ちょっと可哀想だけど、葉っぱを爪で引っ掻くと 緑色の「血」のような液体も出ることが分かりました。
先行知識で「光合成」を知っている子がいましたが、葉っぱは水と栄養と太陽の光で「光合成」をして育つ。人間は「酸素」を吸って「二酸化炭素」をはくけど、葉っぱはその逆で「二酸化炭素」を吸って「酸素」をはき出してくれる。植物がいなかったら、「酸素」がなくなって、人間も動物も息ができなくなっちゃう。それに、植物がなかったら食べるものも無くなっちゃう。だから人間を含む動物にとって、植物はと〜っても大切な「ともだち」なんだよということを学びました。
<プレゼンテーション>
「葉脈(側脈)の数」と「鋸歯の深さ」という今までにない軸で作ったオリジナルの葉っぱマップについて、それぞれ「チーム」と「お気に入りの葉っぱ」の発表をしました。
何をオーディエンスに伝えたいのか、「ここが面白いんだよ!」「こんな発見をしたよ!」というポイントをしっかり発表できるように練習を重ねました。
本番では全員が熱意を込めて、堂々とステージ上で発表することができました!もちろんBetterもまだたくさんありましたが、プレゼンテーションをすることへの自信に繋がったのではないかと思います。
これでテーマは終わりますが、「葉っぱ」への興味、探究は続けていってくれることでしょう。(今回のマップには99種類の葉っぱを載せることができましたが、「100種類目を探す!」と意気込んでいました。)
そして、今回のCI(セントラルアイディア)「見れば見るほど見えてくる。」の概念を葉っぱ以外のことにも応用し、じっくり観察することで 色々な発見をして学び続けてもらいたいです。
6週間お疲れ様でした!
YH
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2023年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)