【探究領域】共存共生
【セントラルアイディア】互いの人権の尊重が、自由・正義および平和の基礎となる。
<テーマ学習> レポート week2
「世界人権宣言」が書かれている人権パスポート。前回は印象に残った箇所を聞きましたが、逆に話題には上がらなかった箇所も気になり始めました。
「前回、話題にあがらなかった箇所ってさ、なんで気にならなかったんだろう?」
その理由を聞いてみると、
「だって、なんか当たり前のこと。聞き慣れていることが多かったからじゃない?たとえば、第6条の”みんな人権をもっている”ってのも、自分たちにとっては、そりゃそうだねよね」とのこと。
「じゃあさ、なんでわざわざ当たり前のことを宣言する必要があったんだろう?」
あえて、子どもたちが”当たり前”だと思っていることを刺激するために、こんな問いを投げかけてみました。この宣言が出されることになったのは、なぜなのか。ここに、今回の視点変換のポイントがあります。
資料を使いながら歴史を追っていくことにしました。
元々、”人権”はごく一部の人にのみ認められていたものの、そこから全ての人に人権があるという考えに至るまでには、アメリカの独立戦争やフランス革命などを含め、長い年月といくつもの戦いが繰り広げられてきたのでした。<市民・国民>の強い意思と行動により、一般の人たちが権利を獲得していったのです。
「アメリカも、人が独立してつくった国だったんだ!」
あんな大国が、まさかイギリスから独立してつくられたなんて!
それほどまでに、民の力のもつ影響力を感じた瞬間でもありました。
だからこそ、世界中の国々を巻き込み、分断と崩壊のきっかけをつくってしまった第二次世界大戦の教訓として採択された、世界人権宣言。
当時のアメリカ大統領だったフランクリン・ルーズベルトの奥さんであるエレノア・ルーズベルトが指揮をとっていました。
終戦から3年後の1948年ということもあり、「さぞかし反対した国もあったんだろうね」とみんなで予想していたのですが、当時国連に加盟していた国は、棄権こそあれど反対がゼロ。賛成48か国で、採択に至ったのです。(棄権8か国、欠席2か国)
あれほどまでに戦争の歴史があったのに、反対がゼロという事実!!
この記念すべき日があったことを、子どもたちみんなが驚愕しました。
しかし、そこでYくんがポツリと一言。
「それなのにさ、残念なことに、まだ人権を侵害することがたくさん起こっているよね・・・。」
資料として、NHKの番組『新・映像の世紀』をみていくと、
・2001年にアメリカで起きた同時多発テロ
・アメリカ対アフガニスタン
・アラブの春
・LBGTQ などなど
21世紀に起こった世界の様々な出来事や事件が実際にあったことが、子どもたちの前に突きつけられていきます。まさに人権の脅威に関わるようなものばかりで、感情が追いつかない様子。
「これって映画じゃなくて本当にあったことだよね?」
「なんで?どうして?」そんなやるせない気持ちが沸々と生まれてきます。
その気持ちを自分の中で鎮火させるのではなく、今感じてること、思っていること、感情とともにぶわーっと出すことにしました。これが、5年生たちのいまの素直な気持ちです。
・こわい、こわすぎる。
・悲しい
・争いはやめて!
・なんで一般人を巻き込む必要があるの?
・言葉にできないほど、ひどい
・この世はなぜこんなふうになったのか
・この世はなぜテロや戦争をつくりだしてしまったのだろう
MK
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2021年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)