[5年生]
「この太い幹の木はスクールの子どもたちが成長した姿を表しているんだ」
ある女の子が、見開き2ページにイラストや写真をふんだんに用いて、TCS
の学びの特徴を図解するアイデアを示しました。木の傍らで、まだ若木の
低木にじょうろで水を与えている人が描かれています。それがおっちゃんだ
そうです。
「学校で今何やってるの?」
「テーマ学習だよ!」
「何それ?意味わかんない。」
「うん、ぼくも意味わかんない。でも、やってくうちに意味が見えてくるんだよ」
「???」
ある男の子が、テーマ学習について知らない人がどんな反応するかをマンガ
形式で表現しました。子どもたちは、テーマ学習こそTCSを代表する学びだと
心から思っています。だから、同年代の友達や大人にTCSって変わった学校
だけど、何やってるの?と聞かれたとき、「テーマ学習!」と即座に返答する
のですが、相手は「???」となるだけ。そのときのことをマンガにしたのです。
「さっきの見開きのイラストの前のページにマンガをのせたらどう?」
2人の発表を聞いた別の子がひらめきました。まず、“テーマ学習って何?”
という見出しとともに、テーマ学習について理解できない人の反応を書いた
マンガのページが目に入る。そのページをめくると、見開き2ページで“テーマ
学習はこういう学びだ!”ということを一目でわからせる図が続く……読み手
をぐっとつかむ面白い流れが生まれました。
着々とアウトラインが固まってきます。テーマ学習をどうアピールするか激論が
繰り広げられました。
「最初に何かを教えてそのあと覚えているか確認するのはつまらない」
「最初から答えが決まってるんじゃなくて、いろいろやっていくうちに答えが見え
てくるんだ」
テーマ学習と他の学びとの違いについて子ども達は明らかにしてゆきます。
「そういえばあのテーマ学習今やればもっとうまくできるかもね」
「うん、もう一度やってみたい」
もうわかった!できた!だからもう終わり……ではなく、「終わりが始まり」と
いう感覚を子どもたちは持っています。やったことを忘れないどころか、何か
ひっかかった部分が消えず、もう一度追究してみたい気持ちを持たせる学び
がテーマ学習だ!という特徴も明らかになりました。
残るは、テーマ学習の具体例を取り上げるページについての編集会議です。
今年度やったテーマ学習の中で、「個の尊厳」を取り上げることにしました。
すると、ある男の子が、個の尊厳の劇でのみんなの演技があまりにも活き
活きとしていて、悲しみがあまり表現されていなかったのではないかと母親に
言われたと言い出しました。
「あの劇で伝えたかったことって何だったのかな……」
誰かがつぶやきました。「個の尊厳」というテーマタイトルがついているの
だから、死、エンバーミング、葬儀のことを学んだわけではない……
となると、あの劇のポイントをしっかり伝える必要があります。
「メイキングの部分だよね……」
別の子がつぶやいたように、劇を完成させるまでの裏話も明らかにし、この
劇を通じて何を学んだのか、その結果、なぜあのシナリオになり、演技に
なったのか、劇を創り上げてゆくまでの過程を書く必要が出てきました。
このことをうまく書ければ、テーマ学習が何を意図して、どう作られているのか、
そして、子どもたちがいかにスゴイことをやってのけたのか、さらに、今後の
彼らの人生にどれだけ大きな財産となったのかを伝えることができます。
しかし、書かなければいけないことはわかってもいざ文にするとなるとまったく
ペンが動きません。コンパクトにしかも相手に伝わるように文章をまとめるのは
大変!この難関を乗り越えてゆくことこそ今回の学びの根幹です。
レイアウト、ページ構成といったアウトラインは固まってきたものの、あと残り
2週間。授業後残業、家への持ち帰り作業も含めて、小冊子の完成へ向けて
ラストスパートです。
「締め切りは近いぞ!全員、一層、奮励努力せよ!」
RI
※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。