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TCSジャーナル2017年3月号

スキー合宿

今年のスキーキャンプもパウダースノーで有名な長野県白馬村へ向かいました。雄大な北アルプスが雪化 粧をし、辺りは一面銀世界。スキー大好きなキッズたちは体調万全で全員参加することができました。

今年は上級者チームからタイガー、キャット(A、B)、シープ、バンビの 5 チームに分かれてスキーを楽 しみました。各チームに合った斜面で基礎をしっかり身につける練習と少しハードルを上げた斜面でのチャレンジに 熱中し、持ち前の playfulness なスピリットで楽しみ努力し続けたあっという間の 3 日間となりました。毎日朝から夕方まで滑り終えてペンションに戻ると、自分のできたことと改善点を振り返ります。次につ なげるのがTCSの学び型の一つ。原体験を”ああ楽しかった”では終わらせず、振り返ることで様々な発 見が生まれます。

それぞれにインストラクターから教わったことを意識し、課題を持って練習を重ねることでどんどんでき ることが増え、可能性が広がっていく子どもたち。今回は、初心者チームと、すでにジュニア1級以上を持っている2名を除きジュニア検定にチャレンジし ました。6 年生の男子 1 名は初挑戦で 1 級を取得、そしてなんと、その他全員が 2〜3 級に合格しました。 みんな、おめでとう!
もちろん思う存分滑りまくった後は、思いきり雪遊びを楽しみます。ペンションの隣にある広場でチーム に分かれて雪合戦やかまくら作り。東京ではできない仲間たちとの雪遊びに時が経つのを忘れてしまいます。 おいしい夕食をたっぷり食べた後は恒例のお楽しみ会。フルーツバスケットや大根抜きなど全学年で大笑いしながら汗だくになって楽しみました。

いつもながら素晴らしい時間を過ごすことができました。暖かい心配りで迎えてくださるペンションウルルをはじめインストラクターや多くの方々のお陰です。 どうもありがとうございました!また来年が楽しみです! (文:今鷹悠一郎)

おっちゃん スクール日記
市川 力

「転んで学ぶ」こと

映画『沈黙』を観た。監督 マーティン=スコセッシ 、尊敬する溝口健二監督へ オマージュとして『雨 月物語』 ワンシーンを織り込んだ。『沈黙』で 、キリ シタン狩り 目を逃れて五島へ向かうシーン。『雨月 物語』で 、森雅之、田中絹代、小沢栄太郎たちが乗 った船が、戦乱に乗じて悪さを繰り広げる賊から逃れ るべく、琵琶湖を静かに進むシーン。不安で不気味な がら妙に静かで、穏やかな水面と雰囲気、アングルま ですべて同じだ。

そういう目で、雨月物語、近松物語、西鶴一代女、 山椒大夫と溝口 作品群を見つめ直すと、映像 み ならず内容まで共通するように見えてきた。そ テー マと 「転ぶ」ということだ。「転ぶ」と 、『沈黙』で 自 分 弱さ ために信仰を捨ててしまうこと。ただ、それ 信仰 みならず、近松・西鶴・秋成 作品を通じて 溝口が描いた、金に、出世に、色欲に眼がくらんでし まうことも「転ぶ」ということだろう。私たち 大なり小な り、誘惑に負けて「転び」ながら生きざるを得ない悲し い存在だ。

TCS校長 市川 力

一方で、赤ちゃん 「転び」ながら「歩き方」を学ん でゆく。「転ぶ」からこそ学べるという側面もある。しか し、いつしか、転ぶこと 哀れさ、転ぶことから逃れら れずに生き恥をさらさなけれ ならない後ろめたさを 抱えて生きることを直視せず、「転 ないように生き ましょう」「立ち方を教えましょう」というメッセージ み 受け取るようになってゆく。

どう転び、転んでもどう立ち上がり、無様を受け入 れて生きるかだなあ……と思いながら散歩し、近所 コンビニに入ると『学びたい』という特集 雑誌が あった。思わず手にとってページを開くと『思考 整 理学』で有名な外山滋比古さんが「転んだら、自分 力で立ち上がらなくちゃいけないんですよ。立ち 上がるときに発揮される力 、転んだときよりも必ず 大きい。平常時に 100 力を持つ人が転んでゼロに なったら、秘められた 150 力を使わないと起き上が ることができない です。一度 150 力を出すことが できた人 、平常時 力が 150 になる。そうやって人 少しずつ強くなっていく です」とおっしゃってい るところに目が釘づけになった。

「転ぶことから学ぶ」

し らく、いや、ずっと抱えてゆく概念になりそう だ。

 

 

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