イベント
|
車の解体イベント
軽自動車一台を一日で解体しちゃった、 子どもたちのパワーに脱帽 車解体イベントは、これから解体される軽自動車(スズキ・アルト)のボディ(ルーフとボンネット)の上に、解体する子どもたち全員が乗って記念写真を撮ることから始まりました。 上に乗ると簡単に天井が凹みます。日常の生活の中でやるとどんなことが起きるかを実際に体験することで、その行為の是非を自分自身で感じてもらうことも、学びの一つです。 企画書を書いた、Aくんをはじめとする3名の和田中学校の2年生と、東京コミュニティスクールの小学生3名が参加しました。 車のリサイクルについて、年間に何台くらいの車が解体されるのか、どのような部品がどのくらい再利用されているのかなどといった話を踏まえて、いよいよ車の解体がスタートしました。 安全に解体するために、まずバッテリーを外すところは大人が行ないましたが、ボンネットを外すところからは子どもたちが担当します。 ボンネットをとめているボルトには十字の穴があったので、早速各自で持ってきたプラスドライバーを使って回してみました。しかし、プラスドライバーではビクともしません。 そこで、田所モータースより借りてきた工具箱からボルトを回すための道具を各自で探してきて試してみるように指示を出しました。 工具の使い方はこうで、ここには何を使うなどと言うことは一切言わずに、とにかく試行錯誤をしながら工具を選んでもらうのも、ここでのねらいでしたが、その思惑通りにペンチやプライヤーを持ってきてもうまく回せないし、目ざとくスパナやメガネレンチを見つけてきても、サイズが合わなかったりして、なかなかボンネットのボルトが外せません。 やっと中学生の担当する車体右側のボルトがメガネレンチで回り、続いて小学生の担当する車体左側のボルトも回すことができました。左右各二つ合計4つのボルトを8割程度まで緩めて、ボンネットを手で支えながら、ボルトを外すと、見事にボンネットが外れました。そこまで30分以上の時間がかかりましたが、自分たちで解体した最初のパーツを誇らしげに、運んで行く姿は非常に印象的でした。 そこまではスローな展開だったのですが、そこからは、車内のインパネ周りを中心に解体する子、フロント周りのボルトを外しまくる子、テールランプを外す子など、自分の興味のあるところを必死になって取り組んでいます。 次第にボックスレンチやラチェットレンチの使い方を覚えてきて、作業の効率も一気に改善され、怒涛の勢いで車が裸になっていき、小学生の予想以上の活躍もあって、予定よりも遥かに早いスピードで作業が進行していきました。 昼食を挟んで、いよいよ地元の杉並区和田にある田所モータースの田所社長の指導の下、本格的な車の解体に取り掛かりました。 フロント周りのバンパーやラジエター、インパネ周りのハンドル等、次第に大きなものを外していきます。ドアは小学生が外しましたが、大きなものを外すと「やったー」という達成感があったようですね。 誰も手をつけていなかったシートベルトやリアのバンパーなどを目ざとく見つけて、黙々と一人で取り外している小学生、フロントのグリル周りを地味に外し続ける中学生など、それぞれのキャラクターが出てきて、子どもたちの様子を見ているだけでもワクワクしました。 田所社長の的確なアドバイスと、車の構造の説明を織り交ぜながら、解体は順調に進み、いよいよエンジンを取り外すときが近づいてきました。 ここで、地元の寺田造園からお借りした、チェーンブロックの出番です。三本の丸太を組み合わせて、その頂点がエンジンの上になるように立て、そこからチェーンブロックを吊り下げ、ワイヤーでエンジンに巻きつけて 持ち上げます。この段階では、まだエンジンは本体と繋がっているので、車のフロント部分が持ち上がります。 うま(リジッド・ラック)を車体の下にかませて、前輪が浮いた状態にして、タイヤを外し、ドライブシャフトを外すところも子どもたちが田所社長の指示の元、必死になって行なっていきます。マフラーを外すなど、いくつかのことは田所社長が自ら車の下にもぐって作業を行ないましたが、ここでは、中学生が頑張って多くの作業を進めていきました。 その一方で、小学生たちは少し疲れてきたのか、すっかり空っぽになった運転席に座り、飛行機のコックピットに見立てて遊び始めていますが、これもまた楽しそうです。子どもたちは何でも遊び道具にしてしまいます。 エンジン周りの結線やパーツが全て外れて、いよいよエンジンを外す瞬間です。チェーンブロックでエンジンが吊上がり、見事にエンジンが外れ、子どもたちのみならず、一緒に解体に関わっていた大人たちからも歓喜の 声があがりました。 気が付くと、当初は数日かけて分解しようと思っていた車は、すっかり部品が外されており、午後4時に解体作業の完了を告げ、車解体イベントが終了しました。 かすり傷程度を除くと全く怪我も無く、車一台の解体をやり遂げた子どもたちの表情は、非常に頼もしく映りました。 このイベントは、一日限りのイベントではありましたが、実はそこに至るまでは、多くの方々のご協力と周到な準備がありました。 しかし最後に子どもたち一人一人に順に感想を聞き、東京CSの市川校長、藤原校長、田所社長の話でイベントを締めようとした時に、中学生から「ちょっと待ってください。子どもたちからここにいる皆さんにお礼を言いたいので。」と申し出があり、小学生も含めた6人が協力をしてくれた皆さんに、感謝の気持ちを表してくれました。 そこまでの準備の苦労が吹き飛ぶとともに、子どもたちがこの車の解体を通じて、解体の方法や車の構造、リサイクルについて学ぶだけではなく、世代を超えたコミュニティの中で、人と学ぶことの意義を感じ取ってくれたことを確信し、非常に爽やかな気持ちで、イベントを終えることができました。 KAZU |
|